2026年6月19日 (金)

日経平均7万円台の驚愕

本日の日経平均株価は7日続伸、終値は7万1250円と5日連続で史上最高値を更新した。週間の上げ幅も5230円と過去最大。週間だよ、月間じゃなくて。もう、ただただ驚くばかりの一週間だった。

株価7万円台は、去年のトランプ関税時の安値から倍以上、今年のイラン攻撃時の安値からも4割以上高い水準。遡れば、バブル高値の3万8915円(89.12.29)からリーマンショック後の安値7054円(09.3.10)までの下げ幅は3万861円。これを7054円から倍返した7万776円の水準は長期的な目途と思われたのだが、これを既に前日に上回ったのだから、恐れ入るばかりだ。株価水準もさることながら、上昇スピードも急激。4万円台から5万円台が1年7ヵ月、5万円台から6万円台が半年、そして6万円台から7万円台がわずか2ヵ月と、大台換わりの日数が短くなっているのは驚きを通り越して、唖然とするばかりだ。「青天井」になってしまった相場を見ると、バブル高値からリーマンショックを経て、バブル高値更新までの30年余りの株価低迷は一体何だったのかいな、とボヤきたくもなる。

相場に天井は必ずあるはずなのだが、今のところ下げトレンドに転じる気配は見えない。戦争による下げがあっても、思ったり短期間で新高値に切り返したのだから、相場は恐ろしく強いとしか言いようがない。大幅下落のきっかけとしては、AI企業の業績見通しへの疑いが生まれるか、長期金利が急上昇するか、というくらいしか思いつかない。

宮田直彦さんのエリオット波動レポートを見ているのだが、とにかく今は相場上昇の最終局面で、いったん下落に転じれば年末か来年3月まで、高値から38~50%下げる、という基本的な見方は変えていない。のではあるが、現時点ではホンマかいな?である。今の相場を見ていると、株価水準そのものが大きく居所を変えてしまったので、過去のパターン分析から将来を予測するチャートは有効ではなくなったのか?という感じもしてくる。もしかして、「株はずっと上がるもの」(広木隆さんの最新刊の書名)になったのかもしれない・・・と思える、しかしその時が天井なのか(苦笑)。ホントに、もうはまだなり、まだはもうなり、だなあ。

いずれにしても、年末の株価はどうなっているか、今から楽しみというか怖いというか。

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2026年3月31日 (火)

株相場、90年と26年の類似

日経新聞電子版本日発信記事(日経平均の3月下落幅7786円と過去最大)から、以下にメモする。

日本株の3月の下落幅は35年ぶりに過去最大を更新した。31日の日経平均株価の終値は5万1063円となり、2月末からの下落幅は7786円(13%)となった。急落を招いたのは、海上輸送の要衝であるホルムズ海峡の事実上の封鎖だ。米原油先物価格は節目の1バレル100ドル台まで急騰。原油の大半を中東地域から輸入する日本にとってインパクトは大きく、悲観的な見方が一気に広がった。

それまで下げが最大だったのは1990年8月(5057円)。バブル崩壊の悪影響があるなか、イラクによるクウェート侵攻で原油価格が高騰したことが響いた。それに次ぐのが翌月の90年9月(4994円)で、歴代の上位3つが全て中東関連となっている。

下落率で見ても歴史的で、3月は13%安とリーマン・ショックに見舞われた2008年10月(24%)以来となった。

・・・1990年も2026年も午年。相場は「尻下がり」の年とも言われるが、ここまで90年と26年の出来事は妙に重なる。まず同じ2月に衆院総選挙実施。ただ選挙後の相場の反応は違った。既に前年末の史上最高値から相場下落が始まっていた90年は、自民党勝利でも流れを押し止められなかった。これに対して、26年は自民党大勝から株価は史上最高値まで上昇。次は中東の大規模紛争勃発。90年は総選挙から半年後の8月、イラクのクウェート侵攻に始まるペルシャ湾岸の危機。26年は、総選挙からひと月も経たないうちに始まったアメリカとイスラエルのイラン攻撃。どちらも相場の急落を招き、記録的な下落幅に。このほかマクロ環境では、金利の引き上げ局面にあるのも似ている。ただし90年の三重野日銀は金利をガンガン引き上げたのに対し、26年の植田日銀は一歩一歩慎重に進めているが。

出来事が類似しているとはいえ、90年の株価下落はいわゆるバブル崩壊相場だったのに対して、26年は株価の割高感、過大な期待の修正というところだろう。ゆえに、どちらも史上最高値を付けた直後の大幅下落ではあるが、26年の相場下落の影響は長引かないのではないか。90年は年初の約3万9000円から、10月初めのザラバ2万円割れ、高値のほぼ半値水準を見て、相場の下落はいったん止まったものの、その後株価は長期低迷した。26年の現時点は、とりあえず心理的節目の5万円割れを見れば、株価の値幅調整は終了すると期待したい。

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2026年1月14日 (水)

午年の総選挙、どうなる株価

1月解散で、日銀も利上げを進めやすくなった。本日付日経新聞投資面コラム記事(6~7月利上げに自由度)から、以下にメモする。

23日召集の通常国会冒頭で衆院を解散する案の浮上は、日銀の利上げシナリオにも影響を及ぼす。一部で有力視された6月の解散が常識的には消えるため、次の金利引き上げ時期の候補である6~7月に動きやすくなるからだ。6月か7月が次回利上げ決定時期の候補になるのは、春季労使交渉で決まりそうな高めの賃上げの実施状況が見えてくるので、利上げ判断を下しやすいため。

1月の衆院解散はめったにないが、過去半世紀では1990年に前例があり、2月に総選挙があった。当時も日銀の利上げ局面で、2月の選挙で自民党が勝利し、3月に日銀が利上げを決めた。8月にはイラクのクウェート侵攻もあり、原油高によるインフレ懸念などに対応し日銀は再び利上げを決めた。2月までに「選挙の季節」が終わった自由度から、2度の利上げに動きやすくなった面もあったのではないか。

当時と今を単純比較すべきではないが、年初から一定期間続いた円安基調、地政学的リスクといった点も似ている。今回も選挙後に日銀が金利引き上げを進めていく同様のパターンになっても不思議はない。

・・・今年は午年、株式相場の格言でいう「午尻下がり」の年。過去の午年を見ると「1990年」が目に付く。言うまでもなく、株価大暴落の年である。前年89年の春から日銀が金利引き上げを進める中、年末に当時の史上最高値を付けた株価は、年明けから下落に転じ、2月の総選挙で自民党が勝利したにも関わらず、相場の下げは加速していった覚えがある。

午年、2月総選挙、日銀の利上げ・・・36年前と同じことが株価に起こるとは思わないけれど、とにかく相場の上昇スピードが速すぎるので、反動が大きくなる恐れもあると感じる。

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2025年9月18日 (木)

日本株、4万5000円台に到達

今日の日経平均株価は4万5303円で取引終了。この数日間ザラバで付けていた4万5000円台に、終値で到達した。

昔、というか大昔、1989年末に3万8915円、当時の史上最高値で一年間の取引を終えた時、来年は4万5000円を目指すかな~とか思っていた。

ところが1990年から株価は大暴落。3万8915円は長い間、株価回復の遠い目標のままだったが、昨年2024年2月、およそ34年ぶりに更新した。その後8月の「令和のブラックマンデー」、今年4月の「トランプ関税ショック」の二度の暴落を経て、株価は史上最高値に進んでいる。

30年以上前に漠然と思った4万5000円台がようやく実現しても、かつてのバブル期のように世間が熱狂しているわけではないし、自分にもあんまり現実感がない。むしろ、この30年は何だったんだろう、とか思ってしまう。

といって、ひと口で「失われた30年」と呼ばれても、そんな簡単に言われてもなあという感じになる。ざっくり言っても、1990年代バブル崩壊の泥沼、21世紀に入ってからの小泉構造改革、リーマン・ショック、アベノミクス等々のハイライトはある(他にもいろんなことがあったんだよなあ)。

しかしとにかくデフレは終わったので、今後の株価上昇も期待していいんだろうな。デフレからインフレに転換して、こっちの頭の切り替えも必要なんだが。(苦笑)

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2025年9月13日 (土)

米国株は「金融相場」か「バブル」か

本日付日経新聞記事(金融相場に踊るAI株)から、以下にメモする。

米国の利下げ再開を見据え人工知能(AI)関連株の勢いが止まらない。金利低下が株価を押し上げる「金融相場」が、さらにAI株に点火するシナリオを市場関係者は意識しはじめた。市場が織り込むのが金融緩和の中で株高が進む金融相場の到来だ。市場では25年に3回、26年も3回の利下げが有力視されており本格的な利下げ局面へ突入する。

株価には景気サイクルにあわせた「四季」があるとされる。企業業績の拡大で株価が上がる「業績相場」の後は、過熱した景気を冷やすために中央銀行が金融を引き締め「逆金融相場」が訪れる。企業業績の悪化につれて株価が下降局面をたどり「逆業績相場」に突入するが、金融緩和に転じると金融相場に入り、業績が底入れしながら株価は上昇気流にのる。

直近の金融相場は19年にあった。18年に第1次トランプ政権が中国に対する関税を引き上げ、当時も徐々に雇用市場の減速感が目立つようになった。経済の下振れリスクに備えるとしてFRBは予防的利下げを実施し景気と株価を支えた。

19年から20年初めにかけては株価が1株あたり利益の何倍まで買われているかを示す予想PER(株価収益率)が15倍台から19倍台に高まり株高につながった。S&P500種株価指数の予想PERは足元で22倍台と19年に比べ高いが、正当化できるとの見方がある。米ゴールドマン・サックスによるとテクノロジー企業の時価総額比率は足元で4割弱と5年で約2倍に高まった。成長期待の高いハイテク比率が増えれば市場全体のPERも切り上がるというわけだ。

米国株のPERと金利の関係はAI相場のなかで崩れている。本来、金利が高まるとPERは下がりやすいのに、22年以降は金利が高止まりするなかでPERも高まった。金融相場入りとなり、セオリー通り金利低下がPERを押し上げるようになればPERはITバブル期の25倍前後が見えてくる。

米著名投資家のハワード・マークス氏は8月の米ブルームバーグ通信の番組でバブルの初期段階にあると指摘した。「警鐘を鳴らしているわけではない」としつつITバブルにつながった1990年代後半と現在の状況が似ていると述べた。

松井証券の大山季之マーケットアナリストは「機関投資家のハイテク株の持ち高は少なく足元の株高に乗り切れていない」と指摘する。様子見姿勢の投資家が参入すれば相場の上昇は大きなものになる。AI相場と金融相場の掛け合わせは思わぬ株高につながるかもしれない。

・・・このまま金融相場の中でPERの上昇を伴いながら、AI株を牽引役とする米国株高がバブルの可能性を漂わせながら続くのかどうか。実に悩ましい。

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2025年9月 7日 (日)

自社株買いの謎

最近の日経新聞連載記事「自社株買いニューノーマル」から、以下にメモする。

自社株買いを巡り、ファイナンスの教科書は「効率的な株式市場では自社株買いは企業価値に対して影響を与えない」と説く。たとえば自己資本1000億円、発行済み株式数が1億株の企業がある。株価(1株あたりの企業価値)は「1000億÷1億=1000円」だ。この企業が100億円(1000万株)の自社株買いを実施すると、株価は「900億円÷0.9億=1000円」で変化はない。ただ現実に株高という現象は起きている。市場に出回る株式数が減ることで需給が引き締まる。純利益を株式数で割って算出する、1株当たり利益(EPS)も伸びる。「シグナリング仮説」は、多くの情報を持つ経営者が自社の株を買うという判断をしたことは将来業績に対する自信を示し、現在の株価の割安さを意味する、との解釈だ。(9/4付記事)

ファイナンス理論によると、負債と資本の最適な組み合わせが企業価値を最大化する。自社株買いを一過性の株主還元としてではなく、目指すべきバランスシートから逆算した資本調整の「手段」として位置づける日本企業が出てきている。ブリヂストンは24年12月期の決算資料で「最適なバランスシートに向けて」と題したページをつくり、同12月末時点で65%の自己資本比率を中期的に55%に下げる方針を示した。社債発行と借り入れで2000億円規模の資金を調達しつつ、発行済み株式数の11%にあたる7500万株(3000億円)を上限とする自社株買いも発表した。同社は長らく財務体質の健全性を重視してきた。経営陣が四半期決算ごとに投資家と面談する中で、市場が求める資本政策への理解が進み、中期的に目指すバランスシートのあり方を示すに至った。(9/6付記事)

・・・企業価値が変わらないとすれば、自社株買い発表で株価が上昇するのは不思議な感じではある。とりあえず自己資本というストックから算出する株価に影響はないのに対して、フローの純利益を元にEPS×PERで算出する株価はEPS上昇(=PER低下)で割安になり買われる、ということなのかな。まあ理論的な株価は変わらないとしても、相場としての株価は反応するという感じだ。

ROEは利益率と資本回転率と負債比率に分解されるわけだが、これまで安全性を重視してひたすら自己資本比率を高めてきた日本企業が、資本効率を高めて企業価値を最大化するための「負債と資本の最適な組み合わせ」を強く意識し始めた、ということのようである。

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2025年6月17日 (火)

有報開示前倒しの圧が強い

株主総会前に有価証券報告書の開示を求める圧力は、企業と監査法人の負担を増加させ、決算から有報開示及び総会開催までのプロセスをますます歪んだものにする。本日付日経新聞記事(「だれ得」の有報開示前倒し)からメモする。

(有報を早く開示しようとする)企業の苦労が株主の議決権行使に役立っていない。なぜすれ違いが起きるのか。日本の決算期末から総会まで3カ月間の実務は世界に比べて煩雑すぎてパンク状態にある。

まず開示資料が多い。東京証券取引所が求める決算短信、会社法で定め招集通知に添付する事業報告、金融商品取引法が規定する有報と3つある。欧米では1~2に集約されている。さらに期間が短い。開示資料が多いのに、3カ月間と短期に監査や開示、総会準備をこなす。欧米は決算期末から総会までに4~6カ月の期間がある。

多忙さから、有報の開示前倒しを求められても多くの企業は総会の1~2日前といった微調整しかできない。これまで、企業は有報の開示は総会後であっても、記載内容のうち政策保有株など議決権行使に必要な情報は招集通知にも記載する工夫をしてきた。機関投資家も参考資料は集約したいため、議決権行使に有報は不要との声は多い。

監査法人はただでさえ5月の連休を返上するほど忙しい。「全上場企業が有報を前倒ししたら受けきれない」と実務の限界が語られる。事業報告と有報の一本化は法務省と金融庁の縦割りが壁とされ、「企業に負担を強いる前に開示プロセス効率化へ改革を進めてほしい」と訴える声も。

仕組み全体の再設計が必要だ。土台を作り直さない対策は効果が見えない「部分最適」に終わる。

・・・とにかく何だかんだで、決算開示と総会開催のプロセスは滅茶苦茶いびつになっている。3月期決算企業と監査法人にとって、4-6月期は「地獄の季節」である。有報開示を前倒しするなら総会開催も後ろ倒し、さらに上場企業の事業報告割愛・有報に一本化など、負担を軽くするためにやれることは何でもやらないと、関係者の方々は過労死の瀬戸際に置かれたままになるだろう。

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2025年6月16日 (月)

株主提案、濫用気味?

日本では個人株主は比較的容易に株主提案できるし、提案内容の「自由度」も高い。基本的に悪いことじゃないと思うが、時に変ちくりんな提案も出てくるからだろう、財界や経済産業省は、提案権行使のハードルを高めようと目論んでいるようだ。現状の株主提案権の是非について、本日付日経新聞オピニオン面インタビュー記事「株主の力は強いか、弱いか」からメモする。

株主提案権の対象事項や要件、臨時株主総会の招集請求権は米欧にあわせて制限すべきではないか。日本では定款変更を求めるかたちで、株主が経営に具体的なことを要望するケースが多い。日本の株式市場に特徴的な現象だ。(太田洋氏、弁護士)

欧米に合わせるのではなく日本の資本市場の特徴を踏まえた議論が必要だ。そもそも株主提案権の要件である「議決権の1%以上または300個以上」は個人投資家にとって小さい額ではない。小粒な新興企業が多い東証グロース市場の平均でも1%保有には1億1500万円、300個保有には3000万円が必要になる。企業の規模にかかわらず、3000万円もの額を投じている投資家の意見を排除するというのは間違っていないか。
日本では株主提案が簡単すぎるという意見の根拠として挙がるのが、かつて野村ホールディングスに「オフィス内の便器はすべて和式に」などと提案した個人投資家の逸話だ。これを引き合いに出して、個人の提案は企業負担を増やすと懸念する声があるが、過去の極端なケースに基づいて過大な対応を取ろうとしているとしか思えない。
仮に提案の質が懸念点ならば内容に規制をかければよい。問題のある提案が出てくる可能性があるからといって一律に株主の権利をなくすのは間違いだ。(忽那憲治氏、東大応用資本市場研究センター長)

株主提案は、株主共同の利益のための提案であるべきだと考えている。しかし、現状では少額で一時的でも保有していれば株主提案ができてしまう。自分の意見を主張したいだけにみえる提案や、総会が終わったらすぐに売り抜けてしまう例が散見される。個人投資家の権利を守りつつ、金額や保有期間で、ある程度提案の「本気度」を測る仕組みがあっても良いだろう。(三橋和之氏、三菱UFJ信託銀行資産運用部フェロー)

・・・今年の野村ホールディングスの株主総会通知を見ると、「野村證券グループ本社」に社名変更する株主提案が出ている。また、三菱UFJフィナンシャル・グループでも社名変更の株主提案が出ているが、「ナカグロ」を取って「フィナンシャルグループ」にするというものだ。このように、そもそも何でこんな提案をするのか、理解に苦しむ株主提案があるのも事実。株主提案にも自ずと「作法」が求められるよなあ、と思ったりする。

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2025年6月 6日 (金)

有報、株主総会前の開示へ

昨日5日の日経新聞で「有報、総会前の開示急増、上場企業の5割超」と伝えられたのに続き、本日の日経新聞では「総会前に有報、前日が6割」と報じられた。

記事によれば、株主総会前に有価証券報告書を開示する3月決算期企業約2300社のうち1241社(55%)、前年は42社(2%)から急増した。3月に、金融担当大臣が全上場企業に総会前の開示を要請した効果がストレートに表れた格好だ。

とはいえ、総会前開示企業のうち、総会前日の開示が64%を占めるという。理想は総会の3週間前との見方もあるが、人的資本関連など企業の開示負担は増しており、大幅な前倒しにはなお課題が残るとのこと。記事にある気になるコメントを、以下に抜き書きします。

更なる開示前倒しのためには、「会社法や金融商品取引法の一体開示に向けた制度整備など実務への配慮が強く望まれる」(三菱商事)

開示前倒しとは逆に、総会開催を後ろ倒しするのは、「(取締役就任や配当支払いなど)影響が多岐にわたり慎重な検討が必要」(三井物産)

投資家への情報提供方法として、「招集通知の開示に工夫を凝らし有報よりもわかりやすく情報提供する企業もある。こうした取り組みも評価されてもいい」(三菱UFJ信託銀行)

・・・まあ、お上から言われて総会前の有報開示を実行しました、でも総会前日ですというのは、二重に「なんだかなあ」の気分になるわけで。前日でも前は前と言われりゃそりゃそうだが、特に個人投資家が有報をまじめに読もうと思ったら、やっぱり時間がないわけで。決算業務の物理的な進行上、開示の大幅前倒しが難しいのは分かるのですが・・・。いつも思うことでは、会社法開示と金融商品取引法開示は一体化というか、かなり共通化されているようではありますが、上場企業は金商法の有報に開示は一本化するのでいいんじゃないかと。それからやはり有報そのものが難しいと言うか、有報は読むようにはできていない。あれはお役所に出すフォーマットが決まっている届出書だなと。有報と内容が大部分同じ有価証券届出書という書類がありますが、そっちの方が名は体を表しているということかなと。

まあとにかく、総会前の余裕を持った有報開示のためには、有報開示前倒しも総会後倒しも、両方やるのが望ましいのでしょう。

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2025年6月 3日 (火)

自社株買いだけでは力不足

本日付日経新聞投資面記事(自社株買い、説明力で浮沈)から、以下にメモする。

日本企業の自社株買いに対する投資家の視線が厳しくなっている。全体では積極的に実施する企業が増えており、下落局面で株価を下支えする役割が目立つが、個別に見ると株高が持続しないケースもある。

投資家は株主還元だけを求めているわけではない。GCIアセット・マネジメントの池田隆政シニア・ポートフォリオ・マネジャーは「日本では事業を成長させつつ自社株を買い戻す企業が米国に比べてかなり少ない印象」と話す。そのため自社株買いの発表は「『成長目的の投資先がない』というメッセージの裏返しとも受け取れる」と打ち明ける。

経済産業省の有識者会議は5月末に日本企業の成長戦略に関する中間報告をまとめた。急増する自社株買いが企業価値の向上に一定の役割を果たしてきた一方で、短期的利益を追求するアクティビスト(物言う株主)の要求に応える形で成長投資ではなく自社株買いを優先している企業もあると指摘。「超過利潤が見込める投資機会が潤沢にあるならば必ずしも株主還元を優先すべきではない」と問題提起した。

日本の上場企業全体でみれば資本効率の改善余地は大きく、自社株買いが増えることは当然ともいえる。だが、中長期的な戦略のない還元策ばかりでは投資家をつなぎ留めるのは難しい。

・・・会社が投資を行い成長して株価も上がるのが王道。なので、成長戦略の説明なき単なる自社株買いは、株価に働きかける方策としては消去法的という評価になるだろうし、株価に与えるポジティブな効果の持続性も限られるのだろう。

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