杉本八段に学ぶ若手との向き合い方
いま「師匠」と言えばこの人。将棋棋士藤井聡太七冠の師匠、杉本昌隆八段。本日付日経新聞のインタビュー記事からメモする。
藤井七冠が小4、10歳で弟子入りした時、この子は手を加えすぎない方がいいだろうと思った。粗削りだが、序盤からじっくり考えるタイプで、対局ではよく持ち時間がなくなり逆転負けしていた。だからといって、早く指す癖をつけても、この子にとってはよいとは思えなかった。
藤井七冠はよく「AI(人工知能)時代の申し子」のように言われるが、小さい頃から自分の力で考え抜いてきたことが今の強さの礎になっている。
弟子が入門する際には、「将棋に関しては師匠も弟子もない。言いたいことがあれば、遠慮せず自由に言ってほしい」と伝えている。私は師匠としては関係重視型で、リーダーシップを持って弟子を引っ張っていくタイプではなかったので、物足りなく思う弟子もいたかもしれない。
(若い弟子とは)年々感覚は合わなくなる。自分の考えが正しいとは限らないし、自分の感覚が古くなっていることを前提に指導するようにしている。
とはいえ、弟子と向き合うには、自分も新しいことを吸収し続けなければいけない。40代、50代でも新しいことを知れば、変わることは可能だ。今はそれができる時代だ。
弟子を持つことは自分自身の強化にもなる。考え方が若くなり、新しいことを吸収しなければという気にさせられるからだ。新しいことに挑戦するのはつらいこともあるが、いくつになっても好奇心は持ち続けたい。好奇心があれば、弟子をはじめ若い人たちと良い関係を築くのに役立つ。自分自身のスキルを高めることにもつながる。
身近に若い世代がいるのはすばらしい環境だ。弟子たちに感謝している。
・・・若い世代との向き合い方について、杉本八段に学ぶところは大きい。藤井君のような天才ならば、師匠が誰であろうと育っちゃうとは思うのだが、それでも師匠が杉本八段だったからこそ、ここまで才能が大きく花開いたのかも、と思わせるお話だ。
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