憲法1条改正(上野千鶴子)
社会学者の上野千鶴子は、人々の天皇制に対する関心が薄れ、やがて「制度としてフェードアウトしていけばいい」と思ってきたという。しかし、今回の皇室典範改正に係る政治の動きは酷いと見て、最近の雑誌論文で「憲法改正は第1条から」という提言を行った。以下に、9月25日付朝日新聞掲載のインタビュー記事からメモする。
象徴天皇制に幕を引こうという提案です。なので、第1条を中心にした憲法改正が必要になります。実現したら、日本は立憲君主制の国ではなく共和制の国になります。もし文化と伝統が大事なら、「文化財天皇制」に変えればいいのではないでしょうか。皇室には無形文化財として、家元制度に似た形で民間にお残りいただけばよいでしょう。
天皇制は、国民の間に出自によって身分格差を設ける仕組みであり、憲法が定める平等の原則に反しています。権威主義の源泉であり、「家制度」そのものです。加えて、象徴天皇制は皇族や天皇の人権を無視した非人間的な制度でもあります。職業選択の自由も移動の自由もない。
(フェミニズムにとって天皇制は)男尊女卑の家父長制の権化です。まさに性差別的な制度です。男系男子で継承される天皇を支持する人たちは、性差別を維持したいのでしょう。
・・・上野先生は当然、共和制への移行は簡単ではないと分かってはいるが、それでもやはり正論を言うことが大事だと語る。フェミニズムの観点の是非はともかく、現実に社会を動かす可能性は小さいとしても正論は言っておかねばならぬ、という姿勢は共感します。
結局、象徴天皇制は天皇制を形骸化した。というか、もともと象徴天皇制の内実は無かったとも言える。「象徴」の内実については、現上皇が真摯に取り組んできたことだが、それを継承する必要はあるのか疑問。近代天皇制は良くも悪くも、その役割を終えたように思う。もう天皇制ははっきり止めにして、天皇家は京都にお帰り頂く、ということでよろしいのではないか。
そもそも憲法1条は日本統治のための天皇制存続、9条は武装解除、いずれも当時のアメリカの都合が反映された条文だ。なので憲法を改正するなら、1条と9条セットでやるべきだと思う。なのにいつも9条ばかり騒がれる。
第二次世界大戦の終了直後、イタリアは国民投票で王制を廃止して共和制にした。彼我の戦後の状況は相当異なるにしても、それだけ見ると、自分たちで政体を決めたイタリアを羨ましく思う。
今やるべきは、皇室典範に関する技術的な議論よりも、天皇制存続の是非を問う国民投票だと思う。まずやらないだろうけど。
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