竜脚類の巨体と長い首の謎
恐竜の中でも飛び抜けて大きい竜脚類は、なぜ巨大化し首が長いのか。『面白くて眠れなくなる恐竜』(平山廉・著、PHP文庫)からメモする。
現在の陸上動物でもっとも大きいのはゾウですが、捕食者であるライオンやトラは大人のゾウを襲うことはありません。大きな肉食獣がゾウを襲っても、分厚い皮膚を突き破って致命傷を与えることはできないのです。
竜脚類はゾウよりもはるかに大きいので、皮膚の厚さも10センチメートル以上に達したと思われます。アロサウルスやティラノサウルスなど最大級の肉食恐竜でも、歯の長さは10センチメートルもありません。つまり、大人の竜脚類は肉食恐竜の攻撃を阻止するに足る分厚い皮膚を持っていたと考えられます。竜脚類は分厚い皮膚を発達させるために巨大化していったと結論できるのです。
首が長いことの合理的な理由は見当たりません。それどころか、首が長いのはむしろハンディキャップです。首が9メートルほどもあると、一回呼吸するのに数十秒もかかります。一分間に数回しか呼吸ができないので、当然、激しい運動はできません。また、食べたものが胃に届くまでにも、相当な時間がかかります。
では、いったい何のために? ヒントになるのは、子供のうちはそれほど首が長くないらしいということです。子供にはなく、大人になるにつれて発達する特徴というのは、要するに繁殖のための性的なアピールと考えられます。首が長いほど異性にモテたのではないかと想定できます。
竜脚類は、長い首と、それを支える巨大な体というハンディキャップキャラクターを発達させました。一見すると非常に不合理な動物に見えますが、恐竜の時代の最初から最後までずっとほぼ同じ形で存在していました。その意味では、恐竜の中でももっとも成功したグループと言えます。
・・・平山先生は、人間もまた、ハンディキャップキャラクターを発達させている動物だと考えている。人間の特徴である二足歩行や大きな脳に、生物学的なメリットはあまり無いという。生存に不合理な特徴を有する動物である人間の繫栄。こちらも謎だ。
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