文久三年、姉小路公知の暗殺
泰三子(やすみこ)の幕末マンガ『だんドーン』の単行本が出ると読んでいる。先月出た最新第11巻は、文久三年八月十八日の政変を描き、新選組と徳川慶喜も登場。それ以上に印象的なのが、政変の3ヵ月前に起きた尊王攘夷派の公家、姉小路公知(あねがこうじきんとも)の暗殺事件。マンガの中で「世に言う朔平門外の変」と説明されるが、正直知らなかった(苦笑)。で、どういう事件か。別の本の説明からメモする。
姉小路公知は、朝廷の尊王攘夷活動の中心的存在であった。彼は賊から襲撃を受けながら、敵の刀を奪い、自邸まで戻ったものの、被った傷は深く命を落としてしまう。その後の調べにより、この刀は「人斬り新兵衛」こと薩摩藩士田中新兵衛のものとわかったが、捕縛された田中は、刀は自分のものであるとは認めたものの、暗殺事件への関与は認めないまま自害して果ててしまった。この事件をきっかけに、薩摩藩は御所の警護の役を解任されてしまう。尊王攘夷派が勢力を高めているさなかに何故、姉小路公知は暗殺されたのか。勢いづいた尊王攘夷派が公武合体派の薩摩藩を陥れた陰謀説、姉小路公知が尊王攘夷から開国へと方針を切り替えたため天誅として処罰されたという説、また、真に薩摩藩が尊王攘夷派のこれ以上の台頭を抑えるために暗殺を起こしたという説など、さまざまな理由が取沙汰されたが、肝心の容疑者田中新兵衛が多くを語らず自害してしまったがために真相は不明のままとなってしまった。(『読む年表 幕末暦』じっぴコンパクト新書、2010年)
・・・マンガでは、姉小路公知の思想転換を想定しながら、田中新兵衛の心理と行動も描き出す。幕末は、こういう謎の暗殺事件が頻発するから、いやーな感じがして好きになれない時代だな。『だんドーン』は「幕末コメディ」と銘打ってはいるのだが、全然シリアスなマンガという印象で、それは描いている幕末という時代のせいでもあるように思う。しかしマンガ家さんは恐ろしく勉強してるし、そこからまたストーリー作って画を描くというのは驚異的な才能だ。とにかく、『だんドーン』は勉強になります。最近の大河ドラマよりも、歴史を学べる感じがします。
| 固定リンク | 0
