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2025年9月 7日 (日)

自社株買いの謎

最近の日経新聞連載記事「自社株買いニューノーマル」から、以下にメモする。

自社株買いを巡り、ファイナンスの教科書は「効率的な株式市場では自社株買いは企業価値に対して影響を与えない」と説く。たとえば自己資本1000億円、発行済み株式数が1億株の企業がある。株価(1株あたりの企業価値)は「1000億÷1億=1000円」だ。この企業が100億円(1000万株)の自社株買いを実施すると、株価は「900億円÷0.9億=1000円」で変化はない。ただ現実に株高という現象は起きている。市場に出回る株式数が減ることで需給が引き締まる。純利益を株式数で割って算出する、1株当たり利益(EPS)も伸びる。「シグナリング仮説」は、多くの情報を持つ経営者が自社の株を買うという判断をしたことは将来業績に対する自信を示し、現在の株価の割安さを意味する、との解釈だ。(9/4付記事)

ファイナンス理論によると、負債と資本の最適な組み合わせが企業価値を最大化する。自社株買いを一過性の株主還元としてではなく、目指すべきバランスシートから逆算した資本調整の「手段」として位置づける日本企業が出てきている。ブリヂストンは24年12月期の決算資料で「最適なバランスシートに向けて」と題したページをつくり、同12月末時点で65%の自己資本比率を中期的に55%に下げる方針を示した。社債発行と借り入れで2000億円規模の資金を調達しつつ、発行済み株式数の11%にあたる7500万株(3000億円)を上限とする自社株買いも発表した。同社は長らく財務体質の健全性を重視してきた。経営陣が四半期決算ごとに投資家と面談する中で、市場が求める資本政策への理解が進み、中期的に目指すバランスシートのあり方を示すに至った。(9/6付記事)

・・・企業価値が変わらないとすれば、自社株買い発表で株価が上昇するのは不思議な感じではある。とりあえず自己資本というストックから算出する株価に影響はないのに対して、フローの純利益を元にEPS×PERで算出する株価はEPS上昇(=PER低下)で割安になり買われる、ということなのかな。まあ理論的な株価は変わらないとしても、相場としての株価は反応するという感じだ。

ROEは利益率と資本回転率と負債比率に分解されるわけだが、これまで安全性を重視してひたすら自己資本比率を高めてきた日本企業が、資本効率を高めて企業価値を最大化するための「負債と資本の最適な組み合わせ」を強く意識し始めた、ということのようである。

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