自社株買いで株価上昇?
最近の株式相場の売買動向では、「自社株買い」が存在感を高めている。短期的売買の買い材料にもなっている自社株買いだが、理論的には株価に中立とされる。日経新聞の昨日10日付記事(「株数減少時代」に日本突入)からメモする。
日本の株式市場で株数が本格的に「減る」時代に突入している。背景にあるのが資本効率改善手段としての大規模な自社株買いだ。24年度の取得実績は前年比7割増え16兆円超と過去最大だった。
自社株買いは短期的には正の超過リターン(相場対比のリターン)をもたらすことが実証研究などで明らかになっている。ただ長期的にどう影響するのかは、ファイナンス理論の世界では様々な議論がなされてきた。
「自社株買いは株価に対してニュートラル(中立)」。こんな結論を導き出すのが「MM理論」だ。後にノーベル経済学賞を受賞した経済学者のフランコ・モジリアーニ氏とマートン・ミラー氏が1950年代に提唱し、両者の頭文字を取った。
MM理論の命題はどんな資本構成でも企業価値は変化しないということ。自社株買いを実施しても1株あたりの企業価値も変わらないことになる。EPSの上昇は「見かけの改善」に過ぎないので、株価は上がりも下がりもしない、となる。自社株買いと株価を検証する上で最重要の理論とされる。だが現実世界では株価は上げている。
経営者は企業の内部情報を持ち、投資家との間には情報格差がある。自社の実力をよく知る経営陣が「株価は本来もっと高くあるはずで、現在は割安だ」と発信するメッセージとして自社株買いを使う。「シグナリング仮説」と呼ばれる。
だが、いまの日本企業に当てはまっているのは別の理論だと野村証券の北岡智哉チーフ・エクイティ・ストラテジストは指摘する。それが「エージェンシー仮説」だ。自社株買いは、経営者が自由に使える現金を減らして株主に返す行為にほかならない。自らを規律付けられる経営者は信頼に足るとみなされ、投資家から高く評価されるという。
一橋大学の田村俊夫教授は、中長期で「PBR2倍、3倍を目指すには、有望な投資機会を創り積極投資」することによる、本業の価値向上が必須だと強調する。
成長の種に資金を振り向けずお金を投資家に返すばかりでは、縮小均衡で終わってしまう。株数減少時代をきっかけに、企業価値を高める成長戦略を構築すべきだろう。
・・・適当な投資先が無いので資金を自社株買いに使うのは、次善の策。やはり本筋は、成長投資に資金を投入し企業価値を高めて株価を上げること。だな。
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