日本という収奪的システム
「安い日本」は「収奪的システム」の結果である、と言うのはエコノミストの河野龍太郎氏。今週の「週刊ダイヤモンド」(3/29号)掲載のインタビュー記事からメモする。
かねて日本の長期停滞の元凶は、もうかってもため込み、賃上げも国内投資も消極的な大企業にあると論じてきました。生産性改善の果実が正社員にも非正規雇用にも分配されないから、停滞が続くのです。
衝撃的事実があります。1998年から23年までの過去四半世紀で、日本の時間当たり生産性は30%上昇しましたが、時間当たり実質賃金は横ばいです。
生産性が上昇しているのに、実質賃金に全く反映されていないことが問題です。喫緊の課題は適切な所得配分です。人口減が原因ではなく、実質賃金が増えないから個人消費が増えず、日本は停滞から抜け出せないのです。
アベノミクスが始まった13年度に300兆円だった利益剰余金は、23年度に600兆円まで倍増しました。ため込んだ利益は賃上げや国内投資に向かわず、大企業は海外投資を加速させています。
90年代末の銀行危機でメインバンク制が崩壊しました。メインバンクの後ろ盾がなくなり、大企業は長期雇用制を維持するため自己資本を積み上げる必要がありました。コストカットのため、正社員のベースアップ(ベア)をゼロに抑え込み、同時に、人件費の一部を変動費に変えるべく、非正規雇用に頼りました。不幸にも危機が繰り返したため、国内ではコストカットが経営の基本になり、自己資本が積み上がった今も、産業界では攻めの経営を選ばず、守りの経営を追求するのが主流です。
1世代にわたり実質賃金が全く上がっていないのは、近代以降の先進国では日本だけ。これが「安い日本」「貧しくなった日本」の実相です。
・・・バブル崩壊後の大企業が正社員の長期雇用維持を最優先として、賃上げは後回しにし続けた結果が、現在の「安いニッポン」。90年代は過去になったかと思いきや、いまだに経済に影響を及ぼし続けている。以前、日銀総裁が語った「ノルム」を作り上げたのも、バブル崩壊後の大企業のビヘイビアと考えてよいだろう。経済状況はもはやデフレとは言えないのに、社会規範はデフレ意識が残る。90年代の呪いは強固だ。
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