少数与党は辛いよ
本日付日経新聞のコラム「大機小機」(少数与党は中道保守を結集せよ)からメモする。
衆院選で自民党と公明党は「政治とカネ」の逆風をはね返せず、議席の過半数を失った。野党が結束すればいつでも内閣不信任案が可決される土俵際である。石破茂首相がなすべきは中道保守を結集し、2007年から毎年、6人の首相が代わった「悪夢」を繰り返さないことだ。
少数与党のリスクは、政策協力や連立の協議がうまくいかず、首相が退陣に追い込まれても混乱が続き、政治が何も決められなくなる事態が長期化することだ。来年夏には参院選があり、政治闘争は激しさを増す。石破首相はその前に、中道保守勢力を結集する必要がある。
少数与党だからこそ、目先のメリットと共に中長期の日本の将来像を協議すべきではないか。「社会保障と税」や「労働市場の流動化と雇用法制」「人口減少とインフラの維持」「安全保障と国際連携」など、テーマは山ほどある。国の将来への責任に党派性は不要だ。
必要なのは、負担と受益の見直しによる持続可能な社会への見取り図である。負担増も含めて国民に提示しないことは、政治不信の一因でもある。野党も含めて問われるのは、中間層を守る意志だ。それなしには、欧米のように世論の分断も進むばかりだ。
・・・かつて安倍首相は、「悪夢の民主党政権」という言い回しを得意気に使っていた。しかし民主党政権(鳩山、菅、野田)の3年間だけでなく、その直前の自民党政権(第1次安倍、福田、麻生)の3年間も含めて、日本政治の「悪夢」の時代と見るところだろう。「悪夢」の始まりだった安倍首相が2012年に復活して、長期政権で「悪夢」の時代を終わらせたのは、立派だったとは思うが。
少数与党内閣というと、1994年の羽田内閣を思い出す。細川首相の辞任、そして社会党が連立を離脱した結果、少数与党の内閣を作った羽田首相は2ヵ月で退陣。その後の自社連立による自民党の政権復帰を許した。
衆院と参院の多数派が異なる、いわゆる「ねじれ」も、政治の不安定につながる。かつて福田首相は、自民党と民主党の大連立を模索した。現在も一部で、石破自民と野田立憲の大連立の可能性という見方が出ている。
現状、政治の不安定感は覆い隠しようもない。コラム氏の書くとおり、毎年首相が交代する「悪夢」を繰り返してはならない。少数与党は、ある意味開き直って、あらゆる手段の可能性を追求して、政策実現を図るべきだろう。
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