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2024年10月 2日 (水)

植田日銀の使命

本日付日経新聞投資面コラム「大機小機」(日銀の最大の仕事とは)からメモする。

日銀は9月20日に開いた金融政策決定会合で、政策金利を0.25%に据え置くと決めた。同日の植田和男総裁の記者会見では、今回もまた市場との対話に関して質問が出た。
植田総裁はその質問を受けて、「丁寧に説明する」と答えた。しかし、利上げを今後どのようにするかについては、限りなく不透明な説明に終始した。
問題は、市場と対話すべき事柄とは何か。その最も本質的な点が、忘れられているのではないか。

植田日銀の課題は、実体経済、物価いずれについても成果を上げることなく、多大な負の遺産を残した異次元緩和を、できるだけ速やかに手じまい、正常な経済を回復することである。日銀の実質上の財政ファイナンスがいかに財政規律を緩ませたかは、この国を導こうという有力な政治家たちの最近の発言を聞けば明らかだ。ゼロ金利と過度の円安は、民間企業の消極的な姿勢に拍車をかけた。

経済の現状はどうか。物価は、日米欧いずれも前年比2%台で同じだ。実体経済もそれほど変わらない。にもかかわらず政策金利は、米国4.75~5.0%、欧州3.5%に対して日本は0.25%。これをどのように正当化するのか。この異常さと、そこからの脱却について、社会(市場はその一部)のコンセンサスをつくることこそが、日銀の最大の仕事だ。

・・・今年8月5日月曜日の株価急落(4451円安)は「植田ショック」、9月30日月曜日の急落(1910円安)は「石破ショック」とも呼ばれたが、前者は円キャリー・トレードの巻き戻し、後者は「高市トレード」の巻き戻しとされることから、二つの「ブラック・マンデー」は、グローバル投資家の運用の都合により引き起こされた現象と考えるところだろう。結局、日銀の政策の大きな方向性は、金融の正常化を探るというものであることは明らかだし、市場に全く配慮しないというのも現実的ではないだろうが、日銀には市場の一時的な動きに捉われることなく、金融の正常化に向けた歩みを確実に進めてもらいたい。

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