澤上流・資産づくりの投資(その1)
さわかみ投信の創業者である澤上篤人氏は、世の中で投資といわれるものは相場追いかけ型の投資であり、長期投資家の目指す「資産づくりの投資」とは違うという。「資産づくりの投資」で大事なことは二つあり、アセット・アロケーションの切り替えと、企業を応援する投資である。『大波乱相場、お金はこうして守れ!』(SB新書)から、アセット・アロケーションについてメモする。
景気が良くなったり、悪くなったりするにともなって、マネーの流れも方向も変わる。それに合わせて、運用先を「株式→現金→債券→株式」という順に切り替えていくのだ。それを、アセット・アロケーションの切り替えという。
われわれ本格派の長期投資家は、不況時に株式への投資ポジションを100%にまで高める。どんな不況もいつかは終わる。不況を脱出すると、景気は徐々に上向いていく。それを先取りするかのように、株価全般の上昇ピッチも上がっていく。
そのうち、景気も過熱気味となってくる。そのあたりから、株式投資ポジションを徐々に下げはじめよう。利益確定に入っていくのだ。経済活動は活発化し金利水準も高くなってきている。保有株を売却した資金は、現金運用にまわしてやれば、これまた結構な金利収入が得られる。
あまりに金利水準が高くなってくると、そのうち景気は失速する。企業活動や個人消費も落ち込む。景気は下降局面に入って、それまで高かった金利水準も下がりはじめる。債券投資に打って出るのはそれからだ。景気失速から不況突入時まで金利は、どんどん下がっていく。逆に、債券価格は、みるみる上昇していく。
景気後退がひどくなってくるにつれ、国や日銀など中央銀行は低金利政策を打ち出す。低金利政策が発動されてきたら、早い段階で債券投資ポジションはゼロにまで下げてしまおう。保有債券を売り上がっていくのと並行して、株式の買い仕込みをはじめよう。不況時の株安局面では、目一杯に株式投資ポジションを引き上げておくのだ。
アセット・アロケーションの切り替えとは、マネーの流れを先取りした合理的な投資戦略を実施するということだ。マネーの流れを先取りして、「株式→現金→債券→株式」と投資対象を切り替えていくのだ。
・・・アセット・アロケーションは、景気循環に則った資金運用の定石ともいえる。澤上氏は、順張りでも逆張りでも、相場追いかけ型の(短期的)投資は難しいものだと言う。とはいえ、景気循環を見ながら景気のピークと底を見極めて、長期的に「逆張り」で資金を運用するのも、やっぱり難しいと思う。特に最近は、景気循環そのものがはっきりと見えにくい感じがするので、なおさらだ。
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