有報開示⇒株主総会の順序は可能か
昨日29日付日経新聞マーケット総合面コラム「大機小機」(株主総会前の有報開示を)からメモする。
3月期決算企業の株主総会がおおむね終了した。多くの会社が総会の後に、有価証券報告書を提出する。だが、欧米では総会の1カ月以上前に、有報に相当する年次報告書を開示する。
日本企業の総会招集通知にある事業報告などは、情報量が少ない。そのため、海外投資家は「総会前に有報を開示してほしい」と要望してきた。
実は総会前の有報開示に法改正は必要ない。総会は基準日から3カ月以内に開催しなくてはならない。基準日を決算日とする会社が多いが、基準日を4月に変えて7月に総会を開催すればよい。そうすれば、総会前に有報の提出が間に合う。そもそも、海外では決算日から総会開催日まで4~5カ月だが、日本は3カ月以内と短い。
現在、上場企業は金融商品取引法に基づく有報、会社法に基づく事業報告・計算書類を作成している。これらには重複が多いばかりでなく、最近は有報の非財務情報の拡充により、現場の負担が増しいている。今後はサステナビリティー(持続可能性)の情報開示が強化される流れにある。
近年、政府は開示負担の軽減や、総会前の情報開示の促進のため、両者を統合する一体的開示の普及を促してきた。だが、これまでそれを利用した企業はない。その理由として①現在のプロセスの変更への懸念②総会を7月に先送りする場合の懸念(取締役人事の確定の遅れ、第1四半期決算の作業時期の重複、投資家の反応など)③法解釈の不透明性ーーなどが指摘されている。
開示書類の見直しは長く指摘されてきた。一元化を進めて企業の負担を軽減し、同時に総会前の有報開示を求める投資家の要請に応えたい。そのために官民がぜひ知恵を絞るべきである。
・・・この件で一番分かりやすいのは、上場企業は会社法決算を省略、金商法決算のみにすることである。会社法と金商法の管轄する役所が違うので実現しないという話を聞くのだが、それが本当だとしたら、何とも馬鹿馬鹿しいとしか言いようがない。
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