映画「PERFECT DAYS」
カンヌ映画祭で、役所広司が男優賞を取った映画「PERFECT DAYS」、ヴィム・ヴェンダース監督作品を観た。
ヴェンダースの名作「ベルリン・天使の詩」のマジックをちょっと期待したけど、当てが外れた。
役所が演じる主人公の平山は、公衆トイレ掃除の仕事をしているシニアの独身男性。公衆トイレ掃除というのも、誰かがやんなきゃいけない仕事だけど、やりたがる人はあんまりいないよなあ。
平山の住んでる古いアパートは、東京スカイツリーの立つ押上近辺にあるようだ。朝起きると、平山はたくさんの小さな鉢植えに水をやる。仕事に向かう時に、車の中でカセットで聴く曲は、ボーカル主体の古めかしいロック。仕事はひたすら丁寧にやる。お昼は公園に行き、サンドイッチを食べ、フィルムカメラを木の枝葉に向けて木漏れ日を撮る。仕事が終わった後は町の銭湯へ。富士山のペンキ絵の掛かるニッポンの伝統的な銭湯で、一日の汗を流す。それから自転車に乗って、隅田川に架かる桜橋を渡り、浅草の松屋デパート付近の地下にある一杯飲み屋に顔を出す。地下鉄の駅にもつながるその場所は、地下街と言うより地下通路に店が出ている感じで、「昭和」のままだ。平山の一日は、古本屋で買った文庫本を夜、寝る前に読んで終わる。
平山は小さなバーの常連客でもある。そこのママさん役を演じるのは石川さゆり。着物姿で、演歌ではなく「朝日のあたる家」(日本語詞)を歌う。 何か妙な感じ。
平山は無口な男という設定。喋らなさ過ぎて、ちょっと気持ち悪い(苦笑)。平山の若い同僚を演じるのが柄本時生という役者さん。いかにも今風の、おっさんから見るとイラっとする感じの若者(苦笑)。まるで素でやってるみたいで、これを演じているのならば凄い。
まあ「完全な日々」というより「静かな生活」という感じで、基本的に、物静かな主人公のルーティーン的な日常を淡々と映し出していく。そういう作品だというのは分かるとしても、正直もう少し主人公の過去を説明してもらわないと、感情移入しづらい。ラストシーンの役所さんの表情だけで、主人公が背負ってきたものが伝わってくるかというと、そこまではいかないなあという感想。
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