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2023年12月23日 (土)

象徴天皇制の行方は

日経新聞電子版22日発信の編集委員コラム記事「象徴天皇が傷つけられていく」から、以下にメモする。

天皇は日本国憲法第1条で「日本国の象徴であり日本国民統合の象徴」とされている。ただ、国事行為以外に象徴としての具体的役割は明記されていない。立憲時の本旨としては、天皇に象徴としての能動的役割を期待せず、その権威を軍部に悪用された戦前の反省から、天皇を政治権力の手の届かない場所に隔離する狙いがあった。しかし、天皇も人間であり、国事行為以外は皇居の中で蟄居(ちっきょ)し続けるわけにはいかなかった。全国各地への行幸や式典への出席など、憲法と法律が定めていない活動が増えていった。

そこで案出されたのが「象徴としての公的行為」という概念だった。あとづけだったが、天皇の様々な活動を象徴的行為として正当化できた。ただ、昭和天皇は戦争責任問題もあったことから活動は抑制的で、象徴的行為が深く論じられることはなかった。平成時代に天皇の活動領域が大幅に拡大されたことから、「象徴の活動とは何か」が本格的に注目されるようになった。

上皇さまが上皇后さまとともに実践した象徴の活動は、昭和から一変した意味を込めて「平成流」と呼ばれた。その内容をキーワードで列挙すると、「社会的弱者」「自然災害」「戦没者」「沖縄」「情報発信」「全国への旅」だろうか。

上皇さまは、上皇后さまの伴走を得て、その内容が憲法、法律では何ら規定されていない「象徴のあり方」を創設したのだ。この「あり方」は多くの国民に支持され、他者の境遇、とくに社会の片隅に置かれた人々の存在への気づきを与えた。ある意味、日本人の精神性を高める活動だったといっても過言ではない。

一昨年末、政府の有識者会議が皇族数の減少に対処するため、女性皇族が結婚後も皇室に残る案と旧皇族の血統にある男系男子を養子にする案を併記した報告書をまとめた。岸田文雄首相は今年10月の所信表明演説で、皇位継承と皇族数の減少は「国の基本に関わる重要な課題」と言及し、11月に自民党内に総裁直属機関として「安定的な皇位継承の確保に関する懇談会」が設置された。

気にかかるのは、これまで政府や自民党から「皇室のあり方と皇位継承は国の根幹」という声はあるものの、「あり方」について具体的な意見、考えがほとんど述べられていないことだ。

「象徴天皇はかくあるもの」「平成で築かれた『あり方』のここを尊重し、継承していくべき」といった理念が聞こえてこない。 

平成の30年間、国と国民のため献身した営為について、為政者が深く考察せず、紋切り型の表層的な天皇観で制度を見ているとしたら、これほど傷つくことはないだろう。

象徴天皇という制度は、すでに満身創痍なのかもしれない。

・・・おそらく今、象徴天皇のあり方をまじめに考えている日本人を見つけるのは、ひどく難しいと思われる。いわゆる保守派の人々も、天皇家の「存続」だけしか頭の中にないだろうし。そもそも、天皇は「国民統合の象徴」であると言われても、自分は正直「はあ?」という感じである。結局、象徴天皇制も「戦後」という時代と分かち難く結びついた歴史的産物である、と考えるほかないように思う。

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