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2023年5月30日 (火)

ESG要素と企業ブランド

本日付日経新聞コラム記事「一目均衡」(「トヨタ提案」ESG原点問う)からメモする。

6月14日開催のトヨタ自動車の株主総会に出された株主提案に注目している。オランダAPGアセットマネジメントなど欧州の機関投資家3社が、気候変動問題に関する渉外活動(ロビイング)の情報開示を強めるよう定款の変更を求めた。
情報開示を求めるのは、例えばトヨタがロビイングで電気自動車(EV)の普及を遅らせようとしていると誤解され、同社の評判やブランドが毀損するリスクを懸念してのことらしい。
APGらの提案は、企業の評判に関するリスク管理に重点が置かれている。製品の売り上げに直結する評判の維持・向上は、経済的な利益にほかならない。これこそがESGの出発点である。

「ESG」が初めて世に出たのは2004年。環境破壊や貧困、飢餓などの問題を前に、当時のアナン国連事務総長らが世界の主要金融機関に手紙を書き、民間資金の活用を促した。公表された提言「Who Cares Wins」は、ESG要素が企業のリスク管理に役立ち「企業価値の重要な部分を占めるようになった、評判やブランドに強い影響を与える」と明記した。すなわち、ESGの原点は明確に経済的な利益の追求であり、世直しは主目的ではない。

1980年代から「小さな政府」を目指す改革が世界的に広がり、21世紀初頭まで民間企業は規制緩和の果実を享受してきた。政府が小さくなったことの引き換えとして、企業は環境・社会など外部化してきた問題への対処で、政府に従うだけでは不十分になった。問題の対処とリスク管理は自らの責任。04年に市場の視点で、企業にそう促す提言が出たのは時代の必然だ。

・・・「小さな政府」は「市場至上主義」を生み、それと共に企業も「株主第一主義」経営、株主価値の最大化を目指す動きとなった。しかしその影で、社会的課題の解決についても企業の担う部分が次第に大きくなってきていたようだ。社会的課題の解決に貢献しない企業は、ブランド価値を落としてしまう時代に入っているのだろう。

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