「もはや昭和ではない」
昭和31年(1956)、つまり終戦から11年経って、「もはや戦後ではない」と宣言したのは経済白書。そして、昭和が終わってから30年以上が過ぎた今年、令和4年(2022)の男女共同参画白書は「もはや昭和ではない」と(あらためて?)表明した。本日付日経新聞記事(白書が示す家族像の移ろい)からメモする。
先週、政府が閣議決定した2022年版の男女共同参画白書に貫かれている考え方は「もはや昭和ではない」だ。令和になっても昭和を引きずっている人は意外に多い。
アンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み)の代表例は「男は仕事、女は家庭。女性は閑職でいい」と思い込んでいる経営者や政治家など男性指導層だ。これが女性の働き方に悪影響をおよぼしているなら正さねばならない。
昭和時代に基礎が固まった社会保障・税制の多くが「結婚して子供をもつのが当然」「夫婦と子供2人が標準世帯」などの規範を前提に設計された。当時は多数がこの規範を共有していた。
アンコンシャス・バイアスの多くも、高度成長期を経て芽生えたとみてよかろう。高度成長期が安定の時代だったからこそ型にはまった家族像が受け入れられやすかった。
白書は客観的でユニークなデータを集め、丹念な分析に力点をおき、根拠にもとづく政策立案につなげることを提案している。昭和を引きずる指導層に対し、思いこみを排せよと呼びかけているようだ。
※データの一例、昭和60年(1985)⇒令和2年(2020)の比較
婚姻件数:73.6万⇒52.6万
離婚件数:16.7万⇒19.3万
男性の50歳未婚率:3.7%⇒25.9%
単身世帯数:789万⇒2,115万
共働き世帯数:722万⇒1,240万
専業主婦世帯:952万⇒571万
・・・記事は、「今年の白書は、とくに昭和世代にとって一読の価値がある」と結ぶ。しかし、高度成長期に完成した制度的な仕組みが、時代の急激な変化に合わなくなり、相当な修正が求められていることは、かなり以前から、それこそバブル崩壊の頃から議論されていた。にも関わらず、現実の改革の歩みは遅々としたものに止まった。21日付の日経新聞では、民主党政権下の「社会保障と税の一体改革」合意10年を経た現状について、「与野党を超えた社会保障分野の改革機運はしぼんだままだ」と伝えている。今回の参院選でも、野党の多くが消費税の減税を「公約」に掲げているのを見ると、何だかなあという感じになるのだ。
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