株主第一主義は要修正としても
本日付日経新聞読書面の記事「活字の海で」(企業のあり方を問い直す 持続可能な社会実現に役割)から、以下にメモする。
持続可能な社会を実現するために、企業が担う役割は大きい。「パーパス」と呼ばれる存在意義を自らに問い、打ち出す。株主第一主義から、幅広いステークホルダーのための経営への移行が企業に求められている。
企業のあり方に関する議論は、19年に米国の経営者団体「ビジネス・ラウンドテーブル」が、株主第一主義からの転換を掲げたことが大きな節目となった。近年は日本企業の間にも、自社のあり方を見直す動きが相次ぐ。21年6月に改訂された、東京証券取引所のコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)が、サステナビリティーを巡る課題への取り組み強化など、ESG(環境・社会・企業統治)を重視する姿勢を打ち出したことも追い風だ。
ただ、欧米企業が行き過ぎた株主第一主義への反省から、会社の本質論の転換を迎えているのに対し、日本企業はそもそも資本効率を高めて株主に対する責任を果たすという目標すら、達成道半ばだ。今後は、経営の効率化を図りつつ成長を促進し、さらに環境や人権問題などの社会的課題解決にも貢献するという、高いハードルをクリアしなければならない。
・・・近年、株主第一主義の修正が唱えられてはいる。が、日本企業については、株主主義による資本効率向上が十分な成果を挙げたとは言えないだけに、株主第一主義の弊害を十分に意識しつつも、今しばらくは株主主義による資本効率向上に向けた取り組みを続行する必要があるように思われる。
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