ルーサー・バーバンク
先週末のニュースショーで、「ブリーダー」(育種家)の話が取り上げられていて、その中でルーサー・バーバンク(1849-1926)という人物の名前が出てきた時に、あっという感じがした。昔、もう50年以上も前だから大昔、自分が小学3年生の時に『偉人の少年時代』という本を読み、その中からバーバンクの話について書いた読書感想文が墨田区の文集に収められたことがあった。でもその後、バーバンクという名前を自分がどこかで見聞きした覚えはないし、たぶん日本ではマイナーな人物なんだろうな・・・。『日本の品種はすごい』(竹下大学・著、中公新書、2019年刊行)によれば、「分類学の父」リンネ、「遺伝学の祖」メンデル、そして「植物の魔術師」バーバンクが、ブリーダーの世界を切り拓いた3人のレジェンドであるそうだ。以下に同書から、バーバンクに関する記述を少しメモしてみる。
バーバンクは、人類の繁栄を目的として、大がかりに植物の品種改良に取り組んだ歴史上初の人物。
バーバンクの志は、植物の品種改良で人々の暮らしを豊かにすること、であった。
バーバンクはありとあらゆる植物を育種し、生涯育成した品種数は800とも1000ともいわれる。
トーマス・エジソン、ヘンリー・フォードと並ぶ三大発明家と称されたにもかかわらず、バーバンクだけは生涯貧乏であった。エジソンとフォードの発明品が特許で保護され、二人が莫大な特許料や利益を得たのに対し、バーバンクの新品種には一切権利保護がなされなかったからである。
いまでこそ、新品種を育成した人に特許権に準ずる品種権が与えられるのは、当たり前の概念である。しかし当時は、農作物が知的財産権の保護対象になるなどとは誰ひとり考えもしない時代であった。
それでも画期的な新品種を次々作り出したのだから、バーバンクも独占的に生産販売するなどすれば、一財産作ることぐらいたやすかったはずである。そうしなかったのは、バーバンクが時間を含めたすべての資源と能力を人類の明るい未来のために捧げ続けたせいであった。
・・・農業を営む家に生まれたバーバンクは、幼い頃から生き物に強い興味を示し、13歳から品種改良に励んでいたという。やっぱり、偉人とはこういうものなのだな。自分が子供の頃に読んだ話では、リンゴの高い木に上った弟が落ちてしまったのを見たバーバンクは、大きくなったら低い木を作ろうと心に決める。この辺に感心して感想文を書いた覚えがあります。
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