四苦八苦
齋藤孝・明治大学教授の新著『60代ミッション』(西東社)から、仏教の「四苦八苦」について説明している部分をメモ。
仏教に「四苦八苦」という言葉がある。そもそも人間は生まれてきたこと自体が苦だし、老いること、病気になること、死ぬことも苦。その生老病死の「四苦」に加えて、「愛別離苦(あいべつりく、愛する人やモノと別れる苦しみ)」、「怨憎会苦(おんぞうえく、会いたくない人と会わねばならない苦しみ)」、「求不得苦(ぐふとくく、求めるものが得られない苦しみ)」、「五蘊盛苦(ごうんじょうく、肉体があるがゆえの苦しみ)」の四苦がある。合わせて「四苦八苦」――。
人間は等しく、これらの苦を避けて通れないという。だから「受け入れなさい」というのが仏教の考え方である。
・・・ということなんですが、「苦」とは根本的に、肉体的あるいは物理的な、つまりフィジカルな出来事を表わしているように思う。それら全くフィジカルな出来事は、自分の心でどうにかしようとしてもどうにもならないことであり、それゆえ自分の心が望んでいるとはいえない出来事、つまり「苦」として現象してくる。つまりこの世では、自分の心が望んでいないことばかり起こるのであり、結局のところ現実とは苦の世界であると認めるほかない。その認識から現実に向き合う覚悟を決める、それが「生きる」ということなのだろう。
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