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2019年8月30日 (金)

復元「大坂冬の陣図屏風」の謎

先日、徳川美術館で公開されている「大坂冬の陣図屏風」を見た(特別展「合戦図」、9月8日まで)。

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これは、現存していない屏風を、残された模本(模写)を元に彩色を施すことにより「デジタル復元」したもの。巨大城郭大坂城に押し寄せる徳川方の大軍、真田丸の攻防など、戦国時代最後の大戦の有り様が精密に描かれている。

この屏風を見に行こうと思ったのは、NHKBSプレミアム番組を見て興味を持ったから(「英雄たちの選択」謎の屏風が語り出す)。
番組では、作者、発注者共に不明である「大坂冬の陣図屏風」について、磯田道史、小和田哲男、千田嘉博ほかの先生方が謎の発注者を推理。
まずはとにかく大坂城が綺麗に正確に描かれていることや、豊臣方が戦いの主役としてクローズアップされていることなどから、①豊臣家にシンパシーを持つ人物、②豊臣大坂城をよく知る人物、そして③屏風を作らせる財力がある人物(城持ち大名クラス、最低でも3万~5万石)を条件に、真田信之、伊達政宗、徳川秀忠、蜂須賀至鎮(よししげ)、そして千姫が発注者の候補として挙げられた。

徳川家康の存在感が意図的に抑えられているように見えるのも、ちょっと不思議なところ。家康の陣は端っこに小さく描かれているし、家康が戦場に持ち込んだ大砲や鉄の楯も見当たらない。秀吉の死後、家康が大坂城西の丸に作った天守も雲に隠されている、という具合だ。

番組の中で提出された「発注者」の中では、自分は伊達政宗かなと思う。豊臣へのシンパシーは無いと思うけど、徳川権力に対する反骨心が屏風に現れているような気がする。

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