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2018年4月30日 (月)

「ウ・パドリーノ」

「“伝説のマフィア”ラッキー・ルチアーノの末裔が日本にいた」という帯の言葉に惹かれて、『ゴッドファーザーの血』(マリオ・ルチアーノ著、双葉社)を書店で手に取った。

何しろラッキー・ルチアーノといえば、マフィアのビッグネームである。1931年のニューヨークにおけるマッセリア一家とマランツァーノ一家の抗争の中から、最終的にボスの中のボスとしてのし上がり、マフィア組織の近代化を成し遂げたラッキー・ルチアーノ。その伝説のギャングの血筋をひく人物が日本の裏社会で生きていたというだけでも驚きなのに、現在は東京・茅場町にあるイタリアン・レストランの経営者であるという話を目にして、また驚いた。

レストランの名前は「ウ・パドリーノ」。実は名前を覚えていなかったのだが、何しろ自分の前の勤務地が茅場町を最寄り駅とする新川だったから、もしかしてあそこ?と思い出す店があったので、調べてみるとやはり一回だけランチで入った覚えのある店だった。地下鉄の駅から永代通りを東に歩いて霊岸橋を渡り、すぐ左に曲がったところにあるお店である。いや~あそこそういう店なんだ、何だかすごいとしか言い様がない。

 マリオ・ルチアーノ氏は1964年シチリア生まれ。23歳の時に来日し、東京や神戸など、既に30年以上日本に住んでいる。かつてはいわゆる「経済ヤクザ」として長い間活動してきたが、今では裏社会関係の仕事からは足を洗い、レストラン経営に専念しているとのこと。

この本の前半では、ルチアーノ氏が日本に来るまでの若い頃に、ニューヨーク、パキスタンのカラチ、フィリピンのマニラで経験した出来事が語られる。日本に来てからは、山口組はじめ裏社会系の人々との交流の話が中心となっているが、時に生命の危険に晒されるなど、それこそドラマか映画のような、常人には想像もできない人生だという感想しか出てこない。

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