アベノミクスに頼らない投資
アベノミクスに「それほどの期待はしない」と言うのは、長期投資ファンドを主宰する澤上篤人氏。日経新聞電子版2/22付の記事(「古くささ」引きずるアベノミクスは期待薄)から以下にメモする。
アベノミクスでもどんな政策でもそうだが、株式市場では決まって大騒ぎするものの、実のところは目先筋、つまり短期投資家とマスコミの話題でしかない。われわれ長期投資家は、そもそも政策などに期待もしていない。何しろ株式投資は個別企業の将来業績を丁寧に分析して、安いと思えば買うだけのことなのだから。
まずアベノミクスで「第3の矢」に当たる成長戦略が、いまいちパッとしない。具体性を欠くとか官僚の作文の域を脱しないとか、いろいろ言われている。
成熟経済となって久しいのに、いまだに日本では国があれこれ関与しすぎである。
早い話、成長戦略など国の言うお題目にすぎない。いつの時代でも、新しいビジネスを創出して事業を拡大するのは、民間の仕事と決まっている。
国が本当にすべきなのは、徹底的な規制緩和で役所の関与を削ぎ落とすことと、大幅な減税の2つに尽きる。企業や個人が自由にビジネス拡大の創意工夫を凝らし、持てる力をフルに発揮できる環境を整えることだ。
ともあれ2015年も、日本株市場は上昇トレンドをたどろう。さはさりながら日本の財政に黄信号が灯ったりで、一時的な株価の大暴落といった展開も十分あり得る。その局面では、国債暴落や長期金利の上昇に耐えられない企業は株価ともども脱落していこう。
一方、日本の1億2710万人、世界では72億人の毎日の生活に照準を合わせてビジネス展開している企業を厳選して長期投資するのであれば、何の心配もいらない。そういった企業の株価は一時の大暴落があっても、すぐにV字型の急上昇をみよう。
・・・「異次元の」金融緩和も「機動的な」財政出動も、所詮は当たり前の景気対策の範囲を出ない。成長戦略も、これまで自民・民主を問わず歴代の政権が取り組んできたはずなのに、見るべき成果は乏しかったとすれば、成長戦略とは成熟国家の悪あがきにすぎない、のかも知れない。規制緩和や減税、要するに「小さい政府」の実現は、日本では絶望的にも思える。ならば株式投資の観点も、政策期待よりは結局、個別企業の将来性に着目するしかない。ということになる。
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