映画「おみおくりの作法」
TBS「王様のブランチ」で紹介されていた映画「おみおくりの作法」を観た(銀座シネスイッチ)。
一時間半、今時としては短めの映画を観終わった後、なぜかこれは日本人の感覚に合った作品だなと思った。イギリスの映画(監督はイタリア人)なのにね。
舞台はロンドン。主人公は中年の公務員、ジョン・メイ。ひとりで淡々と仕事し、生活する。彼が担当するのは、ひとりで亡くなった人の調査。故人の親類縁者を探し出して葬儀も行う。誰も参列しない時は彼ひとりで故人を見送る。手がけた案件の故人の写真は、アルバムに貼って大切に保存している。そんな彼が解雇を言い渡されて、最後の案件に取り組むというのが、映画のストーリー。イギリス各地に出かけて故人の関係者に会って話をし、葬儀の日取りを決めるまで漕ぎ着けたジョン・メイだったが・・・ラスト直前の展開は、これだと余りに淋し過ぎると言うか、感心しない話の作り方だなと、やや失望していたら、ラストでは目にじわ~っと涙があふれてくるのをどうしようもなかった。
主演のエディ・マーサンの人物造形がパーフェクトな印象。監督のウベルト・パゾリーニは製作・脚本も手掛けているが、実際にこういう仕事をしている人たちについての新聞記事を読んで、心を動かされたことが作品を作るきっかけになったという。
この世界では、僕の知らないところで知らない人が知らない仕事をしているのだな、と感じ入る。そして、たとえ見送る人がひとりもいなくても、一つの役目を果たした人生は称えられて然るべきなのだと、しみじみ思う。
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