「気合インフレ率」、息切れ?
本日付日経新聞市況欄コラム「大機小機」(「気合インフレ率」の限界)からメモする。
デフレ脱却を目指す異次元の金融緩和政策は、少なからず自己実現的である。論理ははっきりしないが、みんながそうなると思えばそうなる。デフレマインドは消え、期待インフレ率は上がるというメカニズムである。
道具立ては2つ。揺るぎないインフレ目標の設定と、バズーカ砲と呼ばれるほどの大胆な量的緩和策である。異次元緩和スタート時に日銀は消費者物価上昇率を2年後めどに2%程度とする、と宣言した。バズーカ砲の核心は市場からの巨額の国債購入である。経済理論上、ゼロ金利の下で物価や実体経済にどれほど効くか懐疑的な声は当時も今も少なくないが、「インフレもデフレも貨幣現象である」というフリードマン流の理論が異次元緩和の基本的な哲学である。
スタート当初、市場は動いた。円相場は急落し株式市場は急騰した。気合の効用である。さて、どこまで続くのだろうか。
先週末に発表した昨年12月の全国消費者物価上昇率は前年同月比で消費税増税分を除くと0.5%に沈んだ。昨年5月には1.4%まで上がっていたのが急激に低下している。原油価格急落が原因である。日銀は慌てて昨年秋に2発目のバズーカ砲を放ったが、気合の神通力はどうしても徐々に低下する。このほど来日したキング前イングランド銀行総裁も「金融政策も収穫逓減する」と語る。
「2年後・2%」が自己目的化した日銀のシナリオは狂い始めている。期待インフレ率ならぬ気合インフレ率の限界である。
・・・気合だ、気合だ、気合だ~っ!(笑) ということで異次元緩和の開始から早2年、気合インフレ率も、どうやら息切れしつつある模様です。
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