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2015年2月 7日 (土)

クリティークはポジティブに

そもそも批判とはポジティブである、のだな――『危機を克服する教養』(佐藤優・著、角川書店)からメモ。

重要なのは、思想について語るとき、思想は基本的に解釈あるいは再解釈であることを踏まえておくということです。優れた人が書いたものには、必ず引用が明示されています。
どこまでが自分の考えであり、どこまでが人の考えかをきちんと区別するのは、思想においては重要なポイントになります。

(ある引用が)ずっと続いているとしましょう。そして一行だけ、私も完全に同じ考えだと打ち出す。それでもう、引用は十分な価値があるわけです。一回対象にして、その上で賛成しているという立場を表明する。これがクリティカル、批判的な読み方なのです。

批判、これは明治期にヨーロッパからクリティークという概念が入ってきたときの誤訳です。そもそもタニマチが歌舞伎の演技を見て、「なってねえ」と文句をつけるのが批判という言葉の原義です。

クリティークとは対象としてそれを認識して、何らかの主体的な判断を加えるという意味です。そうすると意味のないもの、自分が完全に拒絶反応を示すものは、通常取り上げません。クリティークの圧倒的多数は肯定的です。

どういうことか。批判のほとんどは、実は賛成している場合です。だいたいの批判は賛成か、その賛成に一部新しい考え方を付け加えたらいい、というものです。部分的にここは違うと思う、こうしたらより良くなるというのも、あります。全面的にそれを否定するというのは、批判の中の本当に極一部です。

・・・この「メモと感想」を記す小生のブログも、基本的にクリティークの態度をもって対象を扱っている、つもりです。

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