ピケティの「リベラル」経済学
今週の「週刊東洋経済」(1/31号)の特集は「ピケティで始める経済学」。表紙にもピケティ先生の写真がドンと載ってる。さすが「ロックスター経済学者」と呼ばれるだけあって、見た目よし。特集トップの「ピケティとは何者か」からメモする。
ピケティの経済学者としての特徴は、資本主義は自動的にバランスの取れたものとはならないので、適度な管理が必要だという姿勢にある。これは歴史的にはケインズを代表とする中道左派の流れだ。実際、フランス現与党のリベラル政党、社会党との距離が近いことは母国ではつとに有名。格差是正の処方箋として世界的な資本課税の導入を提唱するなど、政治的にはリベラル色丸出しだ。
米国の経済学者の多くは自由市場を信奉する中道右派的な姿勢だ。彼らが格差問題に冷淡なことにピケティは不満を持っている。
その一方で、本のタイトルからマルクスとの関係を問われることが多いが、本人は「あまり読んだことがない」と素っ気ない。実際、ピケティの考え方や理論の組み立て方は、米国流のオーソドックスな新古典派経済学がベースとなっている。この辺りが、過激な姿勢にもかかわらず米国の経済学界に受け入れられる素地になっているようだ。
・・・1929年の大恐慌以降、資本主義の危機の時代に、ケインズが現れた。それから80年後の2008年に起きたリーマン・ショックという「恐慌」の後、資本主義の格差拡大の時代に、ピケティは登場した。資本主義の在り方に修正を迫る「リベラル」の季節が再び到来したのかどうか。
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