第一次世界大戦の教訓
100年前の6月28日に起きたサラエボ事件をきっかけに、世界は大戦争の渦の中に投げ込まれた。27日付日経新聞社説(1914年サラエボの教訓に学ぶ)からメモする。
第1次大戦の過程を克明にえがいたバーバラ・タックマンの名著『8月の砲声』を読むと、各国とも回避したいと思いながらずるずると、いつの間にか大戦になってしまった様子がよくわかる。
引き金は暗殺という偶発的な事件だったが、各国は相手の出方を見誤った。構造的な要因もあった。覇権国家だった英国の力が低下し、ドイツが膨張する中で力の均衡に変化が生じていた。国内の不満を解消するため、関心を外に向ける内政的な思惑もあった。
第1次大戦はわれわれに多くのことを教えてくれるが、今、必要なのはサラエボの含意に思いをはせることだろう。
第1は偶発的な衝突は回避しなければならないということだ。相手の出方を読み間違えず、危機を招かないためには外交努力が求められる。
第2は力の均衡の問題だ。中国の台頭でパワーシフトがおこっており、覇権国家である米国の力の低下も相まって、バランスが崩れるときの危うさが世界に漂っているのを知っておく必要がある。
第3はグローバル化が進む中でのナショナリズムの扱いだ。政治がナショナリズムをきちんと管理できるかが焦点だ。
「力をつけ台頭するものには国際的な連携で自制を余儀なくさせ、非軍事的な手段であれば受けいれて協力関係をつくっていく」(五百旗頭真・前防衛大学校長)
歴史はまず繰り返さない。だが学ぶべき教訓がそこにはある。
・・・100年前よりも人間は賢くなったのかと言えば、まあそんなことは全くないだろうから、第1次大戦が残した教訓は今も当然生きているわけだ。
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