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2014年5月28日 (水)

興味深い「ピケティ・ブーム」

今日もピケティ先生の話題をメモしよう。「MSN産経ニュース」本日配信記事(米国覆う「ピケティ旋風」)から。

(フランス人経済学者)ピケティ氏の新著「21世紀の資本論」が米国で猛烈な売れ行きをみせている。約690ページと辞書のように分厚く、数式がちりばめられている。学術的過ぎて、とても大衆的とはいえない内容なのだが、書店チェーンの店頭では山積み。ネット販売の売り上げランキングでは、英訳出版された3月以来、ベストセラー上位の常連となっている。

なぜ米国でピケティ氏が注目されるのか? 「母国では大して知られていないが、時流に乗った」とは、仏週刊誌レクスプレスのニューヨーク特派員、フィリップ・コスト氏の解説。コスト氏のいう「時流」とは、米国で活発化する格差是正論議である。

独立戦争の際に支援してもらった歴史もあり、ただでさえ米国人はフランス人に対して文化的な劣等感にさいなまれている。
普段は外国人に批判されても「カエルの面に水」の米国人だが、フランス人学者に「米国は変だ」と指
摘されて過剰反応した。

「21世紀の資本論」の要旨を一言で表現すると、米国繁栄の礎である資本主義に対する「挑戦状」である。「資本収益率(株式や不動産といった資本の投資利回り)が国民経済の成長率を上回る構図にあるため、富が一部に集中して、社会の格差は拡大する運命にある」と資本主義の将来を悲観的に分析した。

米国の場合、格差は産業革命を機に拡大し、1910年は上位10%の富裕層が全体の富の80%を保有していた。2回の世界大戦を経て、その比率は60%に減るが、2010年には70%まで再び上昇した。相続税制の抜け穴が利用されて、事実上の世襲が復活し、金融資本主義が政治と結びつくことで、経済成長率以上に資本家が富んだ。

過去200年以上のデータを用いて、「所得と富の分配史」を統計的にひもといたピケティ氏にとって、資本主義は権力者が利潤分配の仕組みを利己的に決める弊害が内在している。

本書は資本主義そのものを否定したわけではなく、あくまでも市場の行き過ぎを修正するために政府の介入を求めたまでだ。
データの選択的利用が批判された面もあるが、「格差急拡大」とまではいかなくても、20世紀中盤に発生した中産階級化の流れが終わった構図を明示している。

・・・資本主義の総本山ともいえるアメリカにおけるピケティ・ブームは、格差論議の新段階を示しているようで興味深い。

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