タスカの見たバブル・ニッポン
証券ストラテジストのピーター・タスカといえば90年代、バブル崩壊後の日本に向けた鋭い分析と提言が多くの注目を集めた人物。昨今の「アベノミクス」相場で、俄かに多忙になったというタスカ氏のインタビュー記事が、ただ今「日経ヴェリタス」に連載中。今週(11/24)号掲載の第3回から、日本のバブル時代を語る部分をメモする。
(80年代後半、この国はバブルに浮かれていた)
「米国を追い抜き、21世紀は日本の時代になると本気で言う経済学者やエコノミストがたくさんいました。米国は通産省が描く産業政策をまねしようとしていた。株価はドンドン上がる。日経平均株価が10万円になると予想する専門家すらいた時です」
「収益が倍になった企業の株価は5倍に跳ね上がっていました。ボロ株でさえ1000円を超えた。ワラント債市場は株よりひどい。1日で4倍、5倍です。投機をしている人が実に多い。危ないと思い、弱気に転じました」
(「タスカ・レポート」の分析は常に市場の話題に。90年代初めにデフレを説く)
「大蔵省が不動産、四大証券は株価を支えると信じられてました。そんな時に指摘したのがデフレ経済の可能性です。資産デフレが始まるとね。笑われましたよ。株価下落は一時的な調整だとの見方が多かった。でも実態は違いました。株はボロボロ。金融システムの崩壊も時間の問題でした」
「日本の官僚は有能で、新しい資本主義を作ったと言う人もいました。デタラメですよ。日本の競争力は企業が作り出したもの。官僚が作った目標を企業が達成しようとして頑張ったのではありません」
・・・自分の記憶でも、バブル崩壊直後に出たタスカ氏の本の帯で目に入った「資産デフレの時代」という言葉のインパクトは強烈だった。まさにその後10年以上、日本経済は資産デフレ、それが引き起こした不良債権問題に苦しんだのだ。
タスカ氏は「アベノミクス」についても「変質」を指摘する。「財務省への依存が強くなっている」のは「危険な兆候」だと。果たして日本経済の行方はいかに。
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