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2013年11月16日 (土)

『カール五世』復刊

日本でハプスブルクといえば江村洋。と思えるくらい、読書人にはよく知られた江村先生の手になる『カール五世』が河出文庫から復刊された。河出からは同じ著者の『マリア・テレジア』が先に文庫化されていて、そのカバー袖に「カール五世」の書名が記されていたのを見つけた時は、「おぉっ」という感じでちょいと興奮したけど、実際に『カール五世』の文庫を手にすると、よくぞ復刊されました、と素直に感心する。次は『フランツ・ヨーゼフ』が登場する模様で、江村先生によるハプスブルク主要3君主の評伝が揃うことになる。

今回新しく出た河出文庫『カール五世 ハプスブルク栄光の日々』の元本は、『カール五世 中世ヨーロッパ最後の栄光』(東京書籍、1992)。最近、僕はこの作品をネットで探して古本買って読んだんですよねえ。で、この本からミュールベルクの戦いの部分を、ブログにもメモしました。

だから、復刊を知った時は正直少しビミョーな気持ちにもなりましたが、まあ個人的なタイミングのことは別にして、こういう復刊を目にすると、日本の出版業界は国の文化レベルを維持するという志を失ってはいないな、結構なことだと思うわけです。

文庫化された復刊本を購入して、とりあえずミュールベルクの戦いの部分を見ると、昔の単行本では画家の「ティチアン」が、文庫では「ティツィアーノ」に変わっているのが目に付いた。時の流れの中で、人名等の表記も変わっていくのだなと。

まあとにかく、西洋史について日本人がこなれた日本語で本を書いてくれるのは、本当に有り難いことだと思うのであります。

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