アルジェリアとフランスの「過去」
アルジェリアで起きた人質事件の新聞記事の中に、「旧宗主国フランスのオランド大統領が昨年末に(アルジェリアを)訪問したが、植民地支配を巡る歴史問題でしこりを残した」とあるのを読んで、「歴史問題?」と思った。(汗)
アルジェリア出身のフランス作家カミュの自伝的小説を映画化した「最初の人間」が、フランスとアルジェリアでは公開されていないという話を聞いても、映画の時代背景であるアルジェリア独立戦争について明確なイメージが無かったので、そんなもんかなという感じしかなかったんだけど、どうやら今でも、両国の間には過去の嫌な記憶が根強く残っているのだと、あらためて納得した。
余分な話だが、今回の事件の現地は、カミュ的な太陽と海のイメージはまるで無い荒れた砂漠。なるほどカミュのアルジェリアは「地中海世界」なのだなと気づかされた。
で、アルジェリア独立戦争。1954年に勃発し、1962年アルジェリア独立で終了。8年間でフランスとアルジェリア双方合わせて100万人と言われる犠牲者が出た。現在では経済的関係を維持するなど対立関係には無いが、過去に対するフランスからの謝罪が無いことが、両国間の大きなしこりとなっている。
昨年、2012年の12月。独立50周年のアルジェリアを公式訪問したオランド大統領は、「私は植民地支配がアルジェリアの人々に苦痛を与えたことを認める」と発言。ただ明確な謝罪の表明をしたわけではなく、これは謝罪の必要性を認めるか認めないかでフランス国内の意見が大きく割れていることを反映している。とのこと。
どこの国でも、「過去の歴史認識」は厄介な問題だと思う。前提となる事実確認について、支配者の記憶と被支配者の記憶の非対称性は大きいだろうし、謝罪についても、どこまで許すか許されるかという判断は両者の間に相当落差があるだろうから。
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