「督促OL」の学ぶ力
信販会社のコールセンターに配属された新人OLが、電話口で顧客に怒鳴られながらも試行錯誤しつつ、年間2000億円の支払い延滞金を回収するまでに成長する――『督促OL修行日記』は、何となく気になりながら読まないできちゃった本ですが、「日経ビジネスアソシエ」2月号に紹介記事があったので、以下に「督促OL」榎本さんが編み出した、「逆ギレ」する客への対策5つをメモします。
1 疑問を投げかける
「人間の脳は疑問を投げかけると無意識にその回答を考え始める」という論理学の書籍からヒントを得た榎本さんは、「いつまででしたらご入金いただくことが可能でしょうか」「期限が厳しそうならいくらでしたらお支払いいただけますか」などと、質問形式で切り出すようにした。
2 太ももをつねる
動物学者の著書に「驚いて固まるのは動物の本能。下肢(足)には本当の気分が表れやすい」と書かれていた。そこで、(怒鳴られて)固まったらグッと足を踏ん張ったり、太ももをつねってみることに。すると即座に金縛りが解け、交渉を再開できるようになったという。嘘のような本当の話。
3 「謝罪2+感謝1」で話す
榎本さんは、「朝早くお電話をして申し訳ございません」という謝罪から入ることを心がけた。「何に対しての謝罪なのか」を伝え、「お時間を頂いてありがとうございます」と加えるなど、「謝罪2+感謝1」のバランスで話すことが大事という。
4 罪悪感を刺激する
心理学本に書かれていた「人間がつい無意識に動かされてしまう3つの感情『恐怖心』『義務感』『罪悪感』」の「罪悪感」を(約束を破った客に)利用。「お客様が10日にご入金してくださるとおっしゃるから、お待ちしていたんです・・・」と罪悪感を刺激。
5 ゆっくり丁寧に話す
「貴重なお時間をありがとうございました」など、短く、分かりやすい言葉を付箋に書き、パソコンに貼った。焦ったり動揺した時、頭に血が上った時も、付箋を見れば冷静に対応できた。自信があるようにゆっくり丁寧に話すことも心がけた。
・・・ストレスに悩まされ、同期の人も次々離職していく中で、危機感を覚えた榎本さんは、ストレスマネジメントや成果を上げる方法などを本やセミナーで学び、徹底的に研究。すると、怒る客の傾向と対策が見えてきて、自分の心を守りながら、回収率を上げることができるようになったという。(しかし債務者に怒られるって理不尽だね)
企画プロジェクトの目標達成のような華々しさは無いけれど、これもまた立派なサクセスストーリーだ。「気弱」と自らを評する榎本さんだが、課題を克服しようとする意志、あらゆるものに学ぶ力は並大抵のものではない。見習いたいぞ。
記事の最後で、なぜ仕事を続けてこれたかについて榎本さんが、「一番の理由は気弱なので、辞めたいと会社に言えなかったことかもしれません(笑)」とおっしゃるのには私も(笑)でした。
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