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2012年3月27日 (火)

宇宙物理学という「存在論」

今週の「週刊東洋経済」(3/31号)に、『ざっくりわかる宇宙論』の著者・竹内薫のインタビュー記事が掲載されているので、以下にメモ。

(なぜ数学が自然現象を記述できるのか、)その解明は永遠の課題だ。偶然と言う人もいるし、一方、宇宙が数式の言葉で書いてあると考える人もいる。後者はキリスト教的な考え方だ。神が宇宙を作ったという発想が欧米にはある。人間がどう生きるべきかは聖書に書いてある。自然がどうなっているかについては、自然に書かれている。つまり宇宙そのものに書かれている。その言語は数式だという考え方だ。今でも欧米の科学者半数近くの人たちが何らかの形の神の概念を持って、神の考えを知るために自然現象を研究するという発想がある。そういう意味では、数学は神の言葉なのだろう。

数学は単なる道具にすぎないと考える人は、実在論に対して実証論というまったく別の考え方になる。アインシュタインは典型的な実在論。実証論の人は近年ならスティーブン・ホーキングだ。単に数式に数値を入れて、予測をはじく。それと観測結果が同じならばいいと。実在論はそうではない。数式に込められている具体的な実在を考える。数学という言語で宇宙について語ろうとする。

(超ひも理論の登場など)SF作家の想像力を超えたところまで現代物理学は行っている。

・・・なぜ数学が普遍性を持つのかは、デカルト以来の難題でもある。そして現代でも、キリスト教的背景を持つ欧米の科学者の多くは、神の創造の秘密を知るために宇宙の神秘を探究しているとすれば、科学者の基本的姿勢は近代科学の起こった400年前と殆ど変わらない、ってことになる。実在を意識しながら数式で宇宙の成り立ちを解明しようとする宇宙物理学は、現代における存在論という感じだ。

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