日経新聞電子版の本日付発信記事「老舗政党は衆院選なぜ苦戦」から、以下にメモする。
結党して半世紀以上を超す「老舗政党」が10月の衆院選で苦戦した。政党の基礎体力といえる比例代表の得票をみると、支援者や党員の結束の強さで知られる公明、共産両党の減少傾向が止まらない。2012年の政権復帰後は一強状態だった自民党も比例票を大きく減らした。
結党60年を迎えた公明党は8議席減の24議席にとどまった。比例得票数は596万票となり、1996年以降の現行制度で最低を記録した。支持者の高齢化の影響が指摘される。
102年の歴史を持つ共産党は10議席から8議席に減らした。比例票は336万票で、14年衆院選と比べ半分近くまで落ち込んだ。議席数はれいわ新選組を下回った。同党も党員や支持者の高齢化に悩む。衆院選で自民党派閥の政治資金問題が大きな争点となった。党の機関紙「しんぶん赤旗」は問題を広く知られる前から報じていた。田村氏は「赤旗が共産党の機関紙だと知らない若い人が少なくない」と語る。「裏金問題をスクープしたことはさらに知られていない」とも話した。攻め手をつくったが自民党批判の受け皿になれず、悔やむ気持ちを隠せない。
25年で結党70年を迎える自民党は比較第1党で政権の座を守ったものの、少数与党になり厳しい政権運営を迫られる。比例票は1458万票となり、現行の選挙制度に切り替わった1996年以降で最少となった。
自民党に限らず老舗政党はなぜ票が出せなくなったのか。日本人の組織に対する帰属意識の低下も要因の一つとして考えられる。
2025年は昭和100年。平成生まれの筆者にとり自民、公明、共産各党は歴史をつくってきた一方で昭和の香りがする。日本社会のあちこちで組織に縛られず生きる人が増える。老舗の変わらぬ良さを生かしつつオープンな組織のあり方を模索しないと時代に取り残される。
・・・日経の若い記者が老舗政党に「昭和の香り」がする、というのも分かる気がする。特に公明党と共産党については、宗教学者・島田裕巳先生の見方が納得できる。つまり、創価学会=公明党と共産党は、高度経済成長期に地方から都市に出てきた若者をターゲットに拡大を図った組織であり、両者の歴史的役割は終わった、ということだ。要するに公明党と共産党は「オワコン」である。「昭和の香り」3党の中でも、政権与党経験の長い自民党はまだまだしぶとさを発揮するだろうが、与党としての公明党そして野党としての共産党、両党の存在意義は事実上消滅している。
そして昭和的選挙戦術と言えば「組織票」。その影が、今年の選挙では大層薄くなった。先の総選挙で、公明党が現有議席を確保できなかったのは驚きだったし、およそ40%の低投票率だった名古屋市長選でも、既存政党相乗り支援の候補が敗れた。一方で、都知事選や兵庫県知事選では、SNSの影響力の強さがあれこれ取り沙汰されることにもなった。とはいえ、自分が時代の変わり目を強く感じたのは、やはり「組織票の終わり」といえる事象である。