2008年7月 6日 (日)

日本株を上げるには

「日経ヴェリタス」今週号は、4人の外国人運用担当者に取材した特集記事(世界株安 砦はどこに)を掲載。結論的には「世界経済の先行き懸念は強く、原油高が最大のリスク要因。そのなかで、アジア、資源、インフラ(社会基盤)整備をキーワードに投資先を厳しく選別する」とのこと。日本株について、もっともストレートに語っているレイモンド・チャン氏(RCMアジア・パシフィック最高投資責任者)の発言をメモ。

世界の市場のなかで、今年は日本株がアウトパフォームしている。株価水準も極めて低く、もっと高くなるべきだと思う。しかし、私たちの運用では日本株は中立だ。第1に小泉純一郎首相の退陣後、政府に強い指導力を持った人がいない。第2に日銀総裁の存在感が乏しい。第3に外国から有能な人材を集める移民政策がない。第4に企業が改革に消極的だし、政府も企業に改革を迫っていない。

日本は世界で2番目の経済大国なのに、1990年以来18年間もこれといった成長がないのは信じられない。どうして日本人はもっと変革を求めないのか。もし、日本国民がこのままではダメになると本当に気づいたときには、たぶんもう遅すぎる。少しでも早く気が付いて改革に取り組んだ方がいい。

・・・振り返れば1990年代、バブル崩壊後の経済が長期低迷する中で、日本経済や日本経営の見直しについて議論は活発に行われたが、現実の政策は財政出動による経済対策が繰り返されるばかりだった。21世紀に入ってから小泉政権において、ようやく改革らしい改革、すなわち従来のやり方を変える形の政策が実行され始めたのだが、小泉退陣後は改革継続機運も薄れつつあるのは否定しようも無い。「改革」を巡る現状がお寒い限りとあれば、日本株の先行きにも余り期待は持てないことになるが・・・。

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2008年2月10日 (日)

日本株は買いだ(武者陵司)

先週の「週刊文春」で「大外れアナリスト」と名指しされた武者陵司・ドイツ証券副会長だが、日本株への強気姿勢は変わらない。雑誌「Voice(ボイス)」3月号の記事「日本株は買いだ」からメモ。まず、株安の理由はグローバル要因と国内要因の二つ、前者はもちろんサブプライムローンの問題だが、後者の日本固有の問題とはいかなるものか。

第一に、日本の株式市場は世界で最も世界経済の変化に敏感だということだ。
その理由として、いま日本の上場企業の半数(時価総額ベース)は、グローバルに展開している製造業である。日本の製造業の収益は、国内の景気より、世界経済の影響を強く受ける。
もう一つの問題は、日本の政策や、ビジネスの態度が、海外の投資家から「NO」を突きつけられている現実である。M&Aに対する否定的な対応や自由経済に対する司法の介入、村上ファンドの事件に見られる懲罰の異常な厳しさが、ラディカルな「反市場主義」として映り、日本の株式市場に対する信用を下げたことが大きい。

だが、よく考えれば、グローバル経済の繁栄の恩恵という点で、日本は案外有利なポジションにある。周知のように、いま世界で最も成長しているのは東アジア地域である。いわば裏庭が絶好調であり、日本経済のファンダメンタルズに致命的な問題があるわけではない。

いまの日本経済は、マクロ経済はともかく、ミクロの企業はかつてないほど強い。液晶やフラットテレビ、デジタルカメラ、航空機、原子力発電、公害防止機器など、いまや日本の技術や材料、機械なしに物をつくれる分野は少ない。日本は世界中至るところでナンバーワンの製品技術をもっている。
いまや世界は完全に一つとなり、各国が相互依存の分業体制をとっている。その観点から見ると、日本の強さは当分変わらない。

このような強さをもつ日本経済が、世界のなかで一人負けを続けるのは、やはり理屈に合わない。とすると、日本の株安はマーケットが付けた異常値であり、いずれ是正されていくはずだと考えるのが普通である。

として、現在の状況は「千載一遇」の買いチャンスだとしている。

今のところ「大外れ」だとしても、毒にも薬にもならぬ説を垂れ流すアナリストの類よりは、武者さん、いわゆるキャラが立っているので個人的には評価してます。まあそれにしても「ゴルディロックス経済」とか言ってた時から一年で様変わりですから、やっぱり先のことは分かりません。

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2008年1月23日 (水)

「Kさん」運用資金維持

本日付日経新聞市況面、株価が今年最大の下げ幅を記録した昨日22日の相場解説文中に、BNF氏が登場(新聞では「個人投資家のKさん」)。以下に引用。

「今日だけで1億5000万円の含み損が出ました」。みずほ証券のジェイコム株誤発注で20億円を稼いだ個人投資家のKさんは元気がなかった。日経平均の下げ幅が500円を超えたところで買い向かい、損失が膨らんだという。とはいえ下値の押し目買いが奏功し、運用資産は約190億円と昨秋から40億円増えている。「売られすぎは明白。短期的に株価は回復する」と前向きだ。

・・・この波乱相場で彼はどうなったかなと思っていたので、日経新聞もそれなりに読者サービス?をしてくれるものである。それにしてもこの下げ相場の中、運用資金を増やしていたとは驚き。凄いとしか言いようがない。こういう人が「世に出る」きっかけになったのだから、(当事者には申し訳ないが)あの誤発注が起きたのは「いとをかし」という感じだな。

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2007年8月16日 (木)

長期投資家に好機

「我々のような長期投資家には買い増しの好機だ」と語るのは、沢上篤人・さわかみ投信社長。本日付日経新聞記事(波乱相場どう読む)からメモ。

(サブプライムローン問題の影響は)
「信用の過度な供与による金融経済の膨張がはがれ落ちるだけで、実体経済への影響は限られる。米個人消費は一時的に成長が鈍るかもしれないが、人口が増え続ける同国の消費がマイナスに転じるとは考えにくい」

(どのような投資戦略が有効か)
「世界的な需要拡大に対応できる製造業を主に買っている。機械、自動車、造船、化学、鉄鋼などを5―10年保有する前提で投資する。新興国の労働力供給で賃金が抑えられる一方、物不足で物価上昇圧力が働くため、グローバル企業が利益を上げやすい構図が続く」
「日本の内需が拡大するとは思えない。銀行、小売り、通信、製薬などには投資しない。特に金融セクターはこれから大変だろう。証券化商品の損失が広く及ぶ可能性がある」

・・・ホントに5年10年持つかはともかくとして、ひとまずここで投資対象とする業種については、まあそういうことになるのかなと。

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2007年8月10日 (金)

日経金融にジェイコム君登場

昨日9日付日経金融新聞1面の記事(ザ・コジン/資産運用 光る「自分流」)に、あの「BNF」または「ジェイコム」君(記事の中では「Kさん・29歳」)が登場。メモしてみる。

運用資産は175億円。株取引を始めた7年前に160万円だった元手は1万倍以上に膨れあがった。それでも極端なぜいたくはしない。株取引に楽しさを感じるわけでもない。ただ、もうけ損ねたくないという衝動だけが彼を突き動かす。

眼前には5台のモニターを配し、100―200銘柄の株価の動きをにらむ。チャートで買いと判断するなり、素早い手つきで数千万―数億円単位の注文を次々と執行。1日の売買代金は300億円に達することもある。東証1部の売買代金の「1%を握る男」だ。

金額が膨大なため空売りはしない。それにもかかわらず、7月下旬以降の急落局面で大きな損失は発生しなかった。不安定な海外株をみて、持ち高を極力減らしていたからだ。

売買の判断に特段ルールのようなものは設けていない。その時々によって、様々な要因を総合して判断する。いまは米国株、アジア株、円相場、商品市況などをにらみながら反発のタイミングを見定めているという。

相変わらず、ジェイコム君は快調に株取引を続けている様子。こうなるともう、いくら稼ぐまでやる、というよりは、スポーツ選手のように、能力の衰えを感じた時に「引退」する、って感じなのだろうか。もうひとつ、記事はこう付け加えている。

ただし、取引は1日―1週間程度の短期に特化している。本人いわく、「数ヵ月先の相場なんて、想像もつきませんから」。

・・・本当に、日銀の金融政策や参院選が株式相場の不透明要因になるという声はあったが、サブプライムローン問題がこれ程までに相場に影響を与えるとは誰も思っていなかったようだ。やっぱり先のことは分からない、ってことだな。

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2007年6月30日 (土)

トップアナリストも失職

今月20日に発表された、ドイツ証券の佐藤文昭・株式調査部長の退任。誰もが認めるトップアナリスト退任の背景について、昨日29日付日経金融新聞が伝えているのでメモ。

「なぜ?」。疑問を複数の関係者にぶつけていくと、2年前あたりから同社内ではセールス部隊とリサーチの関係が悪化していたという事実が浮かび上がる。「毎朝、外国人セールスから『ワッツ・ニュー・アイデア?』と聞かれる」とあるアナリスト。リポート執筆よりも、顧客投資家への電話や訪問を最優先。5年、10年先の担当業界を見通すような分厚いリポートを書く暇はなく、「今日上がる株は何か」を伝える役回りを強いられるようになっていた。佐藤氏はそうしたセールスからの「短期的な要求」の防波堤となって奮闘したが、万策尽きたというのが実情だろう。

別にドイツ証券だけの問題ではない。佐藤氏の退職は、日本の株式市場にいま横たわる「アナリスト冷遇」という構造的問題の一つの表れに過ぎないからだ。

「アナリスト冬の時代」の端緒は01年―02年あたりだろう。本国でのアナリスト不祥事を受け、米系証券を手始めに投資銀行部門とリサーチの間のファイアウオールが強化されたのだ。98年に始まった株式手数料の自由化を受けて機関投資家からの手数料率は下がるばかり。投資銀行手数料という兵たんが完全に絶たれたことで、花形職だったアナリストは一気に「食えない職業」に転落した。各社はヘッジファンドという「上顧客」への対応を重視し、短期的な運用収益につながらないアナリストの基礎的な企業調査や業界調査は切り捨てられた。

佐藤氏にはいま、同業他社のほか、投資銀行、ファンドなどから移籍の誘いが殺到。だが同氏は「アナリストだけは断っている。必要とされていない職業にはやりがいがないから」と周囲に語っているという。

・・・昨年末から今年初めに日経本紙、日経金融が「アナリスト冬の時代」について伝えていた(このブログでもメモした)が、トップアナリストも例外ではなかったことに、あらためて状況が大きく変化したことを痛感させられる。

(6~7年前のドイツ証券は凄かった。佐藤文昭アナリストがハイテクバブルの崩壊を予見し、武者陵司ストラテジストの唱えた日経平均1万円割れが現実化したのだから。その印象は今も強烈である)

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2007年3月 2日 (金)

株価予想など当てにはならぬ

一週間前の2月23日付日経金融新聞一面には、日経平均1万8000円台に乗せた株価を受けて、専門家5人の今後の相場見通しが載っていた。強気派からは年内2万円の声ということで、その可能性が消えたわけではないが、ちょっとチェックしてみる。

年内の相場見通しは大きく分けて「N字型」と「年末高値型」。前者は田辺孝則氏と山本平氏で、年前半に高値を付けてその後調整、年末に上向く。後者は武者陵司氏、東英治氏、寺尾和之氏で、年末まで概ね右肩上がりで推移。特に武者氏は、「これといった下げのない直線的な上昇」と、かつての「万年弱気」の人と同じ人とは思えないコメント。まあしかし、この予想はいきなりダメになったといって良いだろうな。このほか、今後の安値を1万8000円とした山本氏、東氏もアウトとさせていただく。

ついでに言うと、証券業界の相場予想の基本パターンは、年初の外国人買い、節分天井彼岸底、4月新年度の機関投資家買い、サマーラリー(夏場の活発な商い)はあったりなかったり、秋は企業やファンドの決算売りなどで調整、その後年末にかけて上昇。ということで、大雑把な全体のイメージとしてN字型の年末高になる。あとはマクロ経済予想(楽観的な?)や政治イベントなどを加えて、とりあえずもっともらしく整えれば相場予想の出来上がり。

さて、残るは田辺氏(高値4月1万9000円、安値9月1万6500円)と、寺尾氏(安値5月1万7000円、高値12月2万円)。夏場の参院選の後、日銀が再利上げに動くというのが、いまのところコンセンサスなので、年後半は余りスッキリしない相場が続くかも知れないと考えると、パターンとしては前半高後半安の田辺予想に現実味が感じられるが・・・。

株価チャートで見ると、日経平均週足は今週大きな陰線を引いて、調整は長引くことを暗示。ただ2月の月足を見ると、月初からの上昇分の帳消しという感じで、上ヒゲ付きの短い陽線。大きなトレンドに変更は無いのかも知れないが、当面株価の上値は重くなることも避けられないだろう。相場を見る時は、トレンドの変化を捉えるのが基本だけど、結局時間が経ってみないと天井も底値も分かんないんだよな~。

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2007年2月25日 (日)

米国中心の世界株高

昨日24日付日経新聞記事「米金融市場 カネ余りの実相」からメモ。

ダウ工業株30種平均がバブル期の高値を抜け、史上最高値を更新し続ける米株式市場。株高を支えるのは資源高や、長期にわたる世界的な金融緩和で市場にあふれた投資マネーだ。

マッキンゼーによれば株式や債券など世界の金融資産残高は140兆ドル(2005年末)。世界の名目GDP(国内総生産)総額の3.2倍に膨らんだ。10年前は2.2倍。しかも国境を超えてマネーがあふれ出している。クロスボーダーの資金移動は総額6兆ドルに達し、02年の2倍に拡大した。FRBによれば06年9月末の米国人による外国株保有は3兆5千億ドル、外国人による米国株保有は2兆6千億ドルとともに過去最高。

米国のマネーが他市場に流れて現地の株高を支え、そのマネーが再び米国に還流する。前提条件は「米市場が世界的に魅力的であり続けること」(マサチューセッツ工科大学のクリスティン・フォーブス助教授)だが、ドル安リスクが表面化するなど各国マネーが内向きに転じたとき、「米市場は不安定さを増す」(同氏)。「世界経済は米国の個人消費というただ一つのエンジンに頼っている」(モルガン・スタンレーのエコノミスト、スチーブン・ローチ氏)との指摘もある。逆回転のリスクも決して少なくはない。

・・・20年前の1987年10月にはブラックマンデー(米国発の世界株価暴落)が起き、10年前の1997年にはアジア通貨危機が起きた。新興市場が成長し、資金の流れに厚みが増しているのが昔と違うとはいえるのだろうが、信用に基礎を置くマネー経済の構造的な脆弱性が変わっているとも思えない。順調に見える世界経済にも動乱の予感?

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2007年2月23日 (金)

NY市場とアナリスト

本日付日経金融新聞コラム「複眼独眼」(証券アナリストが去ると)からメモ。

ウォール街のアナリストを襲った大激震は業務の変容を超え、ニューヨーク株式市場の変質までもたらした。震源は企業調査リポート不正事件にかかわるSEC・大手証券会社との合意(2002年)、自主規制機関による通報、証券調査部門・アナリストの投資銀行部門業務への協力禁止(03年)にあった。企業調査の原資は売買手数料と自己による売買収益だけとなり、大手証券の調査予算は40%近く激減した。

ベテランアナリストはファンド側の調査部門やファンドマネジャー、機関投資家向け株式取引デスクに転身。若手アナリストは産業の長期トレンド分析などに注力するといった具合で、調査対象会社数は3割以上少なくなった。ニューヨーク証券取引所(NYSE)の一日売買高の4-5割を占めることもあるヘッジファンドへの対応が最優先される。短期取引が主体だから、企業分析より投資アイデアや情報の方が評価される。

いまNYSEはかつての輝きを失い劣勢との見方がある。輝いていたのは伝統的なアナリストが市場のインフラを担っていたからだ。

・・・あらためて、2001年末のエンロン破綻に始まる企業不祥事の続発が、アメリカ市場を大きく変えたのだと思わせられる。しかしながら不正防止のため企業の内部統制や証券会社の業務規制を厳しくした結果、市場そのものはヘッジファンド台頭も影響して、いささか「品格」に欠けるものになっているとしたら皮肉な感じがする。

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2007年1月25日 (木)

アナリストのたそがれ

昨年末の日経新聞・若林秀樹氏インタビュー記事でも、「アナリスト冬の時代」が示唆されていたが、続いて日経金融新聞が「アナリストは今 花形職のたそがれ」と題する記事を連載(1月22日~24日)。以下に一部をメモ。

証券アナリストが苦難の時代を迎えている。1990年代、株式市場だけでなく、企業の経営者にも大きな影響を与えたアナリスト。しかし株式売買手数料の低下や投資銀行業務の禁止など環境が変化、影響力が弱まりつつある。

スコアリングと呼ばれる主要な機関投資家による評価手法。アナリストリポートの内容、業績予想や株価の的中度、経営者との面談や工場見学の設定なども“サービス”として評価される。顧客である機関投資家へのアナリストの“サービス”も多様化し、「昔はできた業界動向などの深い分析をする時間がない」という。

かつては企業に対する経営戦略のアドバイスも、アナリストの仕事。IPO(新規上場)では上場後の成長戦略などを作成し提案していた。しかしファイアウオールの徹底で投資銀行業務にかかわることができなくなると、流通市場での投資家に対するサービスだけがアナリストの仕事になった。「投資家の売買を増やすことが目的になり、昔とは違う職業になった」とも。

アナリストたちの仕事が変質し始めた背景には、ヘッジファンドの台頭がある。ヘッジファンドの投資手法は様々。「投資家ごとに求めるものが違ってきた」という。「企業の業績を予想するより、将来の株価を当てることを要求される」というアナリストも多い。機関投資家が自らの調査体制を強化していることも、アナリストを取り巻く環境を厳しくしている。企業の情報開示は充実し、誰でも入手できる情報は増えた。企業と投資家をつなぐ仲介役だったアナリストたちのビジネスモデルが揺らぎつつある。

アナリストに対する逆風は強まるが、大手証券はリサーチ体制の強化に動いている。特に中小型株の担当を増やし、分析対象銘柄数を拡大している。日本の証券会社は、全業種にわたりアナリストをそろえた調査体制を持つか、売買執行業務のみで生き残るかに二分され、中途半端な調査体制は維持できなくなるという予想もある。本当に価値のある情報を提供するアナリストには今以上の報酬が支払われるが、差別化できないアナリストは不要になる。

・・・結局、証券会社に所属するアナリストが何のために企業分析を行うかと言えば、良い会社の株を良いタイミングで取り上げて投資家に提示することに尽きる。とすればその役割は、企業分析に相場観も加えて「営業支援」を行うことで充分ではないかとも思う。かつてのアナリスト花形時代にしても、そのイメージはごく限られた層の人々、すなわち外資系や大手証券に属する高収入の著名アナリストが担っていたと言える。しかし時は過ぎて企業の情報開示意識は高まり、投資家の運用能力も大きく向上。企業や投資家の間にアナリスト的なものの見方が広く共有されていくのに連れて、アナリストの存在感が低下するのも時代の流れということなのだろう。

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