2017年10月23日 (月)

株価15連騰、新記録

先週木曜日19日の日経平均は13日続伸、終値は前日比85円高の21,448円。13連騰は1988年2月10~27日以来29年8ヵ月ぶり、歴代2位の記録に並んだ。続く金曜日20日の日経平均は14日続伸、終値は前日比9円高の21,457円。14連騰は1960年12月21日~61年1月11日以来56年9ヵ月ぶり、歴代最長記録に並んだ。

そして衆院選投票日が終わり、週明け本日23日の株価は選挙の与党勝利、最高値更新の続く米国株などに支援されて上昇。日経平均の終値は前週末比239円高の21,696円、15連騰の新記録を達成した。

今月10月の株価は値を下げた日の無いまま、ここまで推移している。しかし10月は、マーク・トウェインの言う「株投資には特に危険な月」だ(・・・作家は「危険な月」として10月に続いて他の月を次々に挙げて、結局株投資は一年中危険だというオチが付く)。今年は1987年10月19日の米国株大暴落、ブラック・マンデーから30周年。1997年のアジア通貨危機、2007年のサブプライム・ショックなど、7の年は危機の年という話もあったが、2017年は今のところ金融・資本市場に大きな波乱は起きていない。

日経平均は1990年代バブル崩壊時代の反騰局面に付けた、1996年の戻り高値22,666円まで、あと1,000円という水準。この高値を取れば、1997年以降続いてきたデフレから、ようやく日本経済も脱却したという実感が伴ってくるのではないか。

(追記)日経平均は24日も上昇し16連騰達成。25日は反落し、連騰記録は16でストップした。

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2017年8月 3日 (木)

ROE対ROA

ROEかROAか、それが問題だ――本日付日経新聞総合面コラム記事「ROEは万能か?」からメモする。
 
政府が6月に公表した成長戦略「未来投資戦略2017」は、企業の稼ぐ力を測るモノサシの一つである「総資産利益率(ROA)」の改善を新目標に掲げた。企業統治改革で重視してきた自己資本利益率(ROE)とは異なる指標が突然目標に据えられ、投資家や企業には戸惑いの声も広がる。
 
ROEは、企業の最終的なもうけである純利益を、株主が投じた資本と利益の蓄積を合計した自己資本で割って算出する。企業が自己資本をどこまで効率的に使って利益を稼いでいるのかを表す「株主目線」の指標だ。
一方、ROAは純利益を総資産で割って算出する。総資産とは株主の持ち分である自己資本だけでなく、銀行借入金など他人資本も使って企業が積み上げてきた工場、店舗、在庫、現金などの企業の財産だ。この全ての資産を活用してどこまで企業が効率的に稼いでいるのかを示すのがROAで、事業を行う「従業員目線」に近いとされる。
 
ROAとROEには密接な関係があり、ROAに負債の活用度合いを示す「財務レバレッジ」を掛け合わせるとROEになる。このため苦労して利益を増やさなくても、負債を増やしたり、自社株買いや増配で自己資本を減らしたりする、財務テクニックでもROEは改善する。
日本企業は内部留保が厚く、財務レバレッジが低いと思われがちだ。実際は海外企業とほぼ変わらず、問題はROAの低さにある。ROEだけを目標にすると、低収益という最大の問題を覆い隠してしまう恐れがある。
 
2%台のROAを欧米並み(4%台)に引き上げるための最大の原動力は事業再編だ。日本企業は投じる資本に見合った収益を上げていなくとも、黒字であれば事業縮小や撤退には踏み込まず、供給過剰の事業環境を招いてきたからだ。
政府はROA目標の設定に合わせ、企業が円滑に再編に動けるよう制度改正で後押しする。
 
・・・分母が自己資本か総資産かで悩むより、まずはシンプルに売上高利益率をひたすら上げることを考えるべき。ですかね。

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2017年8月 1日 (火)

ROEが示す企業の行動パターン

日本企業の自己資本利益率(ROE)は10%に満たない水準であり、米国企業のおよそ半分にとどまる。2016年度の日本の上場企業のROEは8.68%で、これはバブル最盛期の1988年度の8.65%とほぼ同水準。しかしその中身は大分異なるものだという。日本経済新聞電子版7/30付記事「日本企業のROEはなぜ1桁なのか?」からメモする。
 
ROEという指標は事業の総合的な採算を表す「売上高純利益率」、資産の効率利用の度合いを測る「総資産回転率」、負債の多寡を示す「財務レバレッジ」の3要素に分解して考えるのが一般的です。
この3要素に分解すると、昨年度がそれぞれ「4.37%、0.78回、2.55倍」だったのに対して、88年度は「1.88%、1.14回、4.02倍」となっています。バブル期に比べ直近の数値が上昇している、すなわち計算上はROEの押し上げにつながる項目は「利益率」だけで、「回転率」と「レバレッジ」は低下しています。
 
ここから、過去四半世紀余りの日本企業の行動パターンが浮かび上がります。まず、過剰債務の解消に向けて銀行などからの借り入れをひたすら返済してきた姿です。これがレバレッジ低下になって表れています。財務体質の改善は経営にとって決して悪いことではありませんが、適度な借り入れによって負債と資本のバランスを調整することは、洗練された財務戦略の一つでもあります。良くも悪くも、日本企業の財務行動にはこの視点が欠けています。
 
もう一つ気になるのは、総資産回転率の低下です。通常、この回転率が1倍を下回ると、企業が収益を生みにくい資産を持ちすぎていると解されます。
何が無駄なのでしょう。企業によって事情はさまざまなのでしょうが、思い当たるのは過去最高水準に積み上がっている手元資金です。昨年度末は1年前から約3兆円増えて112兆円になりました。一般的に手元資金は平均月商の1倍強もあれば十分とされますが、112兆円という水準は2倍にも相当します。
 
手元資金積み上がりの理由を企業に聞くと、最も多いのは「不確実性への備え」です。リーマン・ショックに続き東日本大震災も経験した日本企業は、先行きへの警戒心が非常に強く、万が一への備えとして現金を多めに持つ習性がついているのです。
 
借入金を返し、収益を生みにくい資産を抱えるなかでROEを高める方法は、売上高純利益率の上昇しかありません。王道は値上げや、利益率の高いプレミアム製品・サービスを世に出して利益率を高めることです。
 
・・・バブル崩壊後の日本企業の行動は、基本的にリスク回避傾向の強いパターンのまま現在に至っている、と言えそうだ。

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2017年3月11日 (土)

野村證券と80年代バブル相場

野村證券 第2事業法人部』(講談社)の著者である横尾宣政氏は、野村證券の優秀な営業マンとして、80年代のバブルから90年代の損失補填問題、総会屋問題と、まさに野村の激動の時代を生きた人物。同氏が80年代バブル相場を語る部分からメモする。
(1985年9月22日の「プラザ合意」に始まる為替の急激な円高ドル安により、日本企業は危機的状況に陥った)
 
私は「日本の輸出産業もこれで終わりか」と、本気で考えた。
この窮地から日本企業を救ったのが株価の急騰、誤解を恐れずに言えば野村證券が描いた「トリプルメリット」「ウォーターフロント」のシナリオ相場である。 
円高、金利安、原油安を囃して86年から始まったトリプルメリット相場では、この3つの材料の好影響をもろに受ける東京電力、関西電力、中部電力などの電力会社、東京ガスや大阪ガスといったガス会社、それに関電工など電気設備・電力工事会社が買われた。トリプルメリット相場がある程度限界に達すると、ほぼ切れ目なく、再開発プロジェクトによって地価が高騰した東京湾岸に広大な土地を保有しているIHI、東京ガス、日本鋼管(88年6月にNKKに社名変更)を"御三家"とするウォーターフロント相場が始まる。
 
ところでこの当時、株式市場では「Qレシオ」(実質株価純資産倍率)と称する、株価を1株当たりの実質純資産で割って弾き出す指標が使われた。実質純資産とは純資産に、時価で計算した含み資産を加えたもの。「会社が保有する土地の含み益を考慮すると、その会社の株価は決して割高ではない」と主張するための材料だったが、事業の将来価値を軽んじる可能性があり、私はこの指標だけで株価を考えるのは間違っていると思った。
 
いずれにせよ、トリプルメリット相場やウォーターフロント相場に引っ張られて、日本の株価は暴騰していった。そこで起きたのがエクイティファイナンス(株式発行を伴う資金調達)の大流行だ。
80年代の後半の数年間は、エクイティファイナンスで調達した資金を使った生産設備の充実が図られ、技術開発が最も進んだ、日本の黄金時代だった。つまりプラザ合意後の産業界の危機的状況を救ったのは株式市場であり、野村證券が仕掛けたトリプルメリット・ウォーターフロント相場だったと、私は確信している。
 
・・・トリプルメリット、ウォーターフロントそしてQレシオ―――まさにバブル相場の熱気を帯びた記憶が甦える。東京電力、石川島(現・IHI)、新日鉄(現・新日鉄住金)など、大型株中心に売買が空前の盛り上がりを見せた、流動性相場の全面的大展開。あの頃、野村證券の存在感は圧倒的で、証券業界すべての人間が野村の動向に関心を寄せていた、と言っても過言ではなかったのだ。

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2015年8月25日 (火)

アルゴリズム取引の恐怖

日経新聞本日付電子版のコラム記事「株式市場の構造変化を映す超乱高下」(豊島逸夫)からメモする。

ニューヨーク証券取引所(NYSE)といえば、トレーディングフロアの騒がしさが想起される。しかし、今や取引所の心臓部はニューヨーク郊外のニュージャージーにあるデータセンターだ。ビル内にはスーパーコンピューターが整然と並ぶ。
24日、NYSEの寄り付きでダウ平均が1000ドル以上急落する現象が生じた所も、実はマンハッタンではなく、ニュージャージーだった。フロアでの売買はもはや形骸化し、ショータイム(見せ物)などと呼ばれている。

アジア・欧州と株急落が連鎖し、ニューヨーク市場のオープニングも急落確実な状況だった。そこで、100分の1秒でも早く売り注文を集中的に出そうと高速度取引トレーダーたちが動いたのだ。その結果、株価が200~300ドル急落すると、自動的に多くの「損切り」注文が実行され、相場の振れを増幅させる。売りの連鎖で1000ドル以上下げたところで、一部のアルゴリズム取引のコンピュータプログラムが、割安感から「逆張り」の買い注文を発した。そこで、相場は1000ドル近く急反発。その後も瞬間的に100ドル刻み程度の乱高下を繰り返し、前日比588ドル安で引けた。
この市場の騒乱について中国経済や米利上げなどの後講釈で説明を試みてもむなしい。

実はニューヨーク市場が寄り付く30分ほど前に、最初の異変が為替市場で生じていた。円相場がほぼ瞬間的に1ドル=120円台から116円台まで円高に振れたのだ。この現象の背景もやはり、アルゴリズム取引である。

このような効率性を追求した結果の市場の構造変化が果たして健全といえるだろうか。
米国で高速度取引規制論が生じるのも当然と思ってしまう。

先進国の株式市場も、乱高下する上海市場を「初心者集団のカジノ」などと揶揄できなくなった。
パニック売りなどといわれるが、人間の手を離れ、相場を主導するコンピューターに感情はない。自然な沈静化を待つのか、機械的な売りの連鎖を官の手で断ち切るのか。

・・・集団心理による売買も、心理とは無縁に見える機械的売買も、どっちも相場の乱高下をもたらす要因になるというのは何とも皮肉な話だな。

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2015年6月19日 (金)

中国人民が支える株高

今週の日経新聞は火曜日、中国株をテーマにした「一目均衡」コラムをメモしたけど、本日金曜日も市況欄コラム「大機小機」(中国株バブルは崩壊するのか)からメモする。

海外投資家の間で中国株バブルを懸念する声が強い。年初来の上昇率は上海総合指数が約60%、深圳の「創業板」指数は約2.5倍になった。

中国の昨年の国内総生産成長率は四半世紀で最低の7.4%を記録し、今年は6%台に落ちる可能性が高い。実体経済と株価の乖離は広がっているが、株式市場の売買高で約8割を占める個人投資家の強気姿勢に変わりはない。

中国経済は2011年までの33年間に平均10%の成長率を達成。先進国に追い付くための高度成長は必要でなくなり、5%程度の成長が続けば今後10年で中国の経済規模は米国を追い抜く。

アジアインフラ投資銀行の設立メンバーは57ヵ国になり、資金量は約千億ドルといわれる。アジア、中東、ヨーロッパにまたがり、総人口で40億人を超える巨大経済圏の構築が実現すれば、21世紀は間違いなく中国の世紀になる。

経済の先行きへの期待を背景に個人投資家が株高を支えているが、政府も株高維持を重要政策とし、規制緩和や利下げで支援している。しかし中国株は売買高で世界1位、時価総額では米国に次ぐ世界2位となり、株価の崩壊がグローバル金融危機をもたらす可能性は極めて大きい。

・・・「時に波乱となっても、長期では上昇が続く可能性はある」とコラムは結ぶが、中国の経済成長が続くのは疑いないとしても、個人の売買が8割を占める株式市場が時に荒っぽい動きになるのも避けられない、という感じがする。

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2015年6月16日 (火)

上海株上昇の語るもの

日本株の時価総額がバブル期を超えたといっても、現在は上海株の時価総額の方が日本株よりも大きい。その上海株は中国企業の実力を映しているのか。本日付日経新聞投資情報面コラム記事「一目均衡」(日本を逆転、上海株の死角)からメモする。

中国・上海株が好調だ。世界取引所連盟(WFE)によると、5月末の上海市場の株式時価総額は5兆9000億ドル(約730兆円)と東京市場(5兆ドル)の約1.2倍に膨らんだ。4月に史上初めて東京市場を逆転。上海株はバブルの様相を強めている。

中国の金融情報会社の「大智慧」によると、上海証券取引所に人民元建てA株を上場する1054社の2014年12月期の純利益は合計2兆610億元(41兆5000億円)だった。
一方、東京市場(3月期企業、新興市場除く)1802社の2015年3月期の純利益合計は26兆9672億円だった。
単純比較はできないとはいえ、純利益で上海が東京の約1.5倍の規模となり、両市場の時価総額の逆転を一見裏付けているように見える。

だが上海市場は社数にして14、比率にしてわずか1.3%の銀行(1兆2000億元)が上場企業全体の純利益の59%を占める。いびつな収益構造となっている。
さらに大きな問題はこうした銀行の収益力低下が確実視されていることだ。

預金金利の自由化は急速に進んでおり、預金と貸出金の利ザヤは縮小している。不良債権処理費用も増えており、かつて2桁増益が当たり前だった銀行の収益は鈍化が鮮明になっている。

上海市場に上場する銀行14行の15年1~3月期の純利益は前年同期比3%増にとどまった。15年12月期通期では横ばいか減益に陥る可能性もある。経済成長の減速と金利の自由化が重なると、銀行の収益に下押し圧力がかかることは先進国の歴史が証明している。

・・・中国の歩む道は「いつか来た道」なのか。1980年代の日本では、経済成長率が低下し金利自由化が進む中で、収益機会を求めて銀行が不動産融資に走ったことがバブルを生み出す要因の一つになった。中国の経済と株にバブルの様相もあるとすれば、遅かれ早かれバブルの崩壊がやって来ることになる、のだが。

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2015年6月11日 (木)

米ブラックロック、日本株に強気

本日付日経新聞マーケット面のコラム記事「スクランブル」(巨大投資家、市場を席巻)からメモする。

いま日本株を買っている外国人とは誰なのか。データを探ったところ、ある巨大な米機関投資家の存在が浮かび上がった。その名をブラックロックという。

同社が急成長したのは、金融危機前後に体力が落ちた米メリルリンチと英バークレイズから運用部門を相次いで買収したからだ。今ではあらゆる運用商品を手掛けるコングロマリットで、規模は573兆円と世界で圧倒的な首位。世界最大の年金基金、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の4倍の規模だ。

日本株への投資額はどれほどか。調査会社ファクトセットがTOPIX500構成銘柄を調べたところ、グループ16社の合計で10兆7680億円。GPIFは下回るものの、日銀とはほぼ並ぶ日本株を持つ、日本企業の2位ないしは3位の大株主ということになる。

何より目立つのは足元の買い増しペース。昨年3月末比77%増で、増加額は4.7兆円。
ブラックロック関係者によると、同社の日本株買いの半分強をETF(上場投資信託)や法人客から預かったインデックス運用の買いが占める。

ブラックロック・ジャパンで最高投資責任者を務める河野真一氏は言う。「バリュエーションはいい水準まできたが、日本企業でガバナンス改革が始まったのは大きい。対話を通じ我々自身が投資先のバリュエーションを切り上げることができますから」。
世界最大の巨大投資家は、まだ日本株を買うつもりのようだ。

・・・ガバナンス改革は、企業の評価引き上げに関与するチャンスとみる機関投資家の自信が印象的ではある。

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2015年6月 2日 (火)

「ガバナンス相場」は本物か

日経平均株価は昨日まで12連騰の後、反落して終了。1988年2月に記録した13連騰には及ばなかったが、このところの株式相場の強さの背景の一つに「ガバナンス改革」への期待がある。関連して本日付日経新聞の記事をふたつメモする。まずマーケット総合面コラム記事「スクランブル」(ガバナンス相場の号砲)から。

海外投資家が日本株を買う理由の一つがガバナンス改革だ。株主が企業経営に注文をつけ、共同で企業価値の拡大に取り組むとの期待は高い。その進捗を測る物差しがROEだ。

株主が企業に求める収益率は「株主資本コスト」と呼ばれ、安全資産である長期国債利回りに株式のリスクプレミアムを上乗せして算出する。日本では8%程度とされ、ROEがこの水準を超えれば株主の期待に応えたことになる。

企業が資本効率を意識してROE引き上げに励めば、企業統治改革をけん引役とするガバナンス相場の息は長くなりそうだ。

・・・次に、投資情報面コラム記事「一目均衡」(統治改革の目的と手段)から。

ガバナンス改革をテコに日本企業は収益力の向上や資本の最適化を実現し、投資家にもたらす市場のリターンは増大する――。今の株高の底流にあるシナリオだ。しかし長期投資家の胸中は複雑なよう。コモンズ投信の伊井哲朗社長は「企業も市場も反応は近視眼的。議論が本質からずれている懸念がある」という。

例えば活発化する自社株買い。一時的にROEを高めても、継続的な効果は見込みにくい。引き上げたROEを維持するには、今度は本業の利益率を上げていく必要がある。
ROEの改善で重要なのは分母(自己資本)対策ではなく分子(利益)をいかに増やすか。
その分子対策も短期と長期で視点は異なる。企業価値の増大を重視する長期投資家は、会計上の利益より利益の源泉であるキャッシュフローの創出力に注目する。

ガバナンス改革は企業の持続的な成長を促すのが目的。資本効率の向上はその重要な手段だ。短期的な利益のかさ上げや内部留保のはき出しばかりでは「企業が毎月分配型投資信託のようになる」(伊井氏)。

・・・長期的な企業価値の向上という本来の目的が置き去りにされれば、「ガバナンス改革」も単なる株価の材料でしかない。「ガバナンス相場」の息が長いものになるかどうかは、結局のところ企業価値向上の実現に懸かっている。「一目均衡」コラムは、株主が納得できる成長ストーリーを企業自らが描き実行するしかない、と結んでいる。

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2015年4月23日 (木)

IPO時の「売出し」は要らない

株式上場時に行われる既存株主からの保有株売出しは、株価形成の歪みにつながる――今週の「週刊東洋経済」(4/25号)の記事(ミスターWHOの少数異見)からメモ。

スマホゲームのgumiは2014年12月18日に東証上場、初値は公募価格と同じ3300円。その2ヵ月後半後の3月5日、通期の営業利益予想を13億円の黒字から4億円の赤字に下方修正したのだ。翌日、株価はストップ安の2081円、時価総額の25%が吹っ飛んだ。

國光社長は株式公開時に12万株を売り出して3.96億円を手にしている。
しかも、gumiは14年の6月と7月に1214円で取引先やベンチャーキャピタルに割当増資をし、引受先の多くが売り出しをしている。売り出し株数が公募株数の7倍だったため、市場では高値で売り抜けるためのIPO(新規株式公開)だったのでは、という見方さえある。

IPOをする会社と幹事証券には、公募価格を高くしたいインセンティブが働く。会社はできるだけ多く資金を調達したいし、幹事証券は手数料を最大化したい。
既存株主からの売り出しが加わると、さらに個人の欲が乗ってくる。公募価格が高いほど創業者利益は大きくなる。草創期にリスクマネーを提供したベンチャーキャピタルなども高値歓迎だ。

株式の流動性確保など事情はあろうが、売り出しを認めるかぎり同じことが起きる。

海外の例が参考になる。たとえば、台湾のIPOは原則として公募のみで売り出しはしない。約半年間、市場が株価の妥当性を見極めてから、創業者らは保有株を売り出す。

・・・将来的な会社の成長持続に確信があるのなら、経営者や既存株主が自分の保有株式を新規公開時に慌てて売り出す必要もないはず、だよな。

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