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2024年8月 9日 (金)

なぜ人は本を読むのか

雑誌「プレジデント」(8/30号)の特集は、「どんどん本が読めるようになる」。巻頭対談(社会学者の古市憲寿×書評家の三宅香帆)からメモする。

古市:本は最初から最後まで読まなくちゃいけないと思い込んでいる人は多いですが、ぜんぶ読む必要はまったくない。本も検索と同じで、必要なところだけ目を通せば十分です。知りたいこと以外が書かれているページは飛ばしても構いません。どうしても本を読まなくちゃいけないとき、僕は本しか読めない環境に強制的に身を置くようにしています。最近は通信環境がよくなってネットのつながらない場所がほぼなくなってしまいましたが、今もどうしても本を読む必要があるときは、新幹線に乗るようにしています。

三宅:調べるだけならネット検索やChatGPTでもそれなりの情報が手に入ります。それでも古市さんが今、本を読む理由って何ですか。
古市:著者なりの見方に触れられることが今も本を読む最大の理由です。僕が読みたいのは、著者なりの解釈や切り口がある本です。例えば三宅さんの『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』も、読書と労働の歴史を概観しているだけでなく、三宅さんなりの視点で貫かれています。
三宅:学術的な論文と批評の違いがあるのかもしれません。批評は自分の解釈であり、読み手に視点を与えることが目的。私は批評をやっているつもりなので、私の本を「著者の視点がある」と評価してもらえるのはうれしいです。

三宅:私の場合、ある情報を知りたいというより、「この人の意見を聞いてみたい」「この人は雰囲気が合いそうだ」と作家に注目して本を選ぶことが多い。本のほうが、書いた人の考えが入ってきやすい気がします。本を読むと、作者が別の価値観を提示してくれて、自分の価値観が影響を受けたりする。いい本は良くも悪くも自分の価値観を揺るがせる。そこに読書の一番の魅力があるのではないでしょうか。

・・・人は単に知識や情報を求めているのではない。人が本を読むということは、知識や情報を使いこなす解釈や視点や価値観を求めていることを示している、ように思われる。

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