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2024年8月12日 (月)

幸福になるためには(山崎元)

経済評論家・山崎元氏の「遺作」である『がんになってわかったお金と人生の本質』(朝日新聞出版社)の第5章(お金より大事なものにどうやって気づくか)から、以下にメモする。

一般に、自分の行動を自分で決めることができる「自己決定性」は幸福を増進するとされる。

お金があれば自由の範囲が拡大する。例えば、個人でもお金があれば、宇宙旅行を体験できるような世の中になった。しかし、人は、宇宙旅行に行った自分を他人に感心して承認して貰いたい生き物でもある。端的に言って、人間は、自分に関して他人による承認を得たことを実感して「幸せ」を感じる。いくらお金があって自由の範囲が広くても、友達も恋人もいないような人生では面白くないし、幸せを実感することが難しい。

必ずしも異性関係の「モテる・モテない」ではなくもう少し広い人間関係を指すことにするが、「モテる」人は幸せだし、「モテない」人は不幸せだ。「お金」、「自由」の外に、「人間関係」の要素が幸福には影響するということだ。

人気(≒モテ)には、たぶん稼ぐ能力と同じかそれ以上に、元々の資質の個人差が大きいだろうが、「人柄を良くする」などの努力で改善ができない訳ではない。

「幸福」を構成するのが「自由」と「人気」だとして、「お金」は両者を手に入れるに当たってポジティブな影響力を持つ要素だ。加えて、お金を得る近道についても考えると、他人に好かれること(人気者になること)が、直接的な幸福感の獲得にも、お金を通じた間接的な幸福感の獲得にも有効であるようだ。

「幸せになるには、他人に好かれるような人になるのが近道だ」という平凡な結論が出た。

・・・承認願望が満たされる機会が多いという意味では、モテる人は「幸せだ」といえるのかもしれない。しかし、山崎氏も指摘するように、「モテ」は個人的資質の差が大きい。また、そうであればモテるための個人的努力にも、自ずと限界があるということになるだろう。

自分は最近、人と何か共有できたと感じられれば、それが幸福(感)というものではないだろうかと考えるようになった。だから、幸せとは、何か人生の目標とするような究極の状態ではなく、日々の生活の中で感じられれば、それでよいものなのだろうと思う。

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