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2024年5月26日 (日)

「原爆の母」と呼ばれた女性科学者

オッペンハイマーは「原爆の父」と呼ばれたが、「原爆の母」もいたのだな。本日付の日経新聞記事(ノーベル賞に嫌われた「原爆の母」)から、メモする。

「原爆の母」と呼ばれた女性科学者がいた。オーストリア生まれのリーゼ・マイトナーは核分裂の発見者の一人で、物理学と化学で計31回ノーベル賞候補に推薦されながら、受賞できなかった。女性でユダヤ系という差別に加え、スウェーデン科学界の派閥争いで不当に除外された。ノーベル賞の黒歴史でもある。

「原爆の父」と呼ばれた米科学者を描いた伝記映画「オッペンハイマー」で、若い科学者が新聞を手に理髪店を飛び出す場面がある。当時、強固な原子核は分割できないと考えられており、核分裂発見のニュースに興奮していた。映画では、オットー・ハーンとフリッツ・シュトラスマンのドイツ人科学者の名前が出る。史実としては正しくない。

1938年、ハーンらはウランに中性子を照射して重い元素をつくろうとした際、軽いバリウムが出てくることに気づいた。だが化学者なので、原子核で何が起きているのか見当がつかなかった。そこで、ナチスによる迫害を逃れるためにスウェーデンへ亡命したマイトナーに頼った。2人は元同僚で、長年の共同研究者だ。手紙をやりとりしながら研究を続けていた。

マイトナーはウランがバリウムとクリプトンに分裂するのなら説明可能と気づき、おいのオットー・フリッシュと論文をまとめた。バリウムとクリプトンを足してもウランより軽いが、分裂時に放出されるエネルギーが質量の減少分に相当することも突き止めた。核分裂という言葉を使ったのはマイトナーだ。開発には関与しなかったが戦後、米メディアから「原爆の母」と呼ばれるようになる。

ハーンは優れた実験家で、マイトナーは鋭い洞察力を持つ理論物理学者だ。二人三脚だったからこそ様々な成果を出し、何回もノーベル賞の候補に推薦されている。核分裂については39~45年の7年間に、2人は物理学と化学でそれぞれ3回、ノーベル賞の候補に一緒に推薦された。しかし、受賞したのはハーンだけ。

ノーベル財団は2020年、公式X(旧ツイッター)で、核分裂の発見者をハーンとマイトナーの2人と認めた。しかし、ハーンの背後にマイトナーが立つイラストを添えていたため、批判の声が多数あがった。

・・・ノーベル賞の黒歴史。科学技術の発展に大きく貢献したにも関わらず、不当に扱われて歴史の中に名前が埋もれてしまった人の数は少なくないのだろう。

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2024年5月25日 (土)

デ・キリコ展図録コレクション

「デ・キリコ展」(東京都美術館、8月29日まで)に行ってきた。

日本におけるデ・キリコ展開催は、今回で8回目になる。自分は、2回目(1982年)以降は毎回観に行っている。時期は3回目の1989年から順に1993年、2000年、2005年、2014年、そして今回8回目の2024年。写真はこれまでのデ・キリコ展の展覧会図録(カタログ)。左上から右に向かって4回、2回、8回、1回。左下から右に向かって7回、3回、6回、5回。最初の展覧会(1973年)はさすがに行ってないので、ヤフオクで購入したものです。

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デ・キリコには割と関心はあるので、展覧会には何となく行くんだけど、いつも物足りない感じ。デ・キリコ作品の金字塔といえば、やはり画家が20代の頃に描いた「形而上絵画」に尽きると思うのだが、展覧会で日本に来るのは30代以降の古典絵画と「新形而上絵画」が大部分。これじゃあ、デ・キリコの真価に触れる機会になるとは言えないね。まあ、まとまった数の「形而上絵画」を集めるというのも、簡単じゃないんだろうなあ。

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2024年5月19日 (日)

大物ロックバンドの「終活」

雑誌「アエラ」5/20号記事「ロックバンドが終活を始めた」から以下にメモする。

大物バンドたちが、次々に“終活”に乗り出している。KISSは昨年12月、コロナ禍での中断もあって長く続いたファイナル・ツアーにようやく終止符を打ち、バンドとしての活動を停止。エアロスミスは、やはり昨年フェアウェル・ツアーをスタートしたが、ボーカルのスティーブン・タイラ―が声帯を痛めて中断。今年9月から来年2月までの新日程が発表されたところだ。

また、ともにヨーロッパの大物バンドであるスコーピオンズとジューダス・プリーストには、フェアウェル・ツアーを行いながら前言を撤回し、その後も活動を継続しているという“前科”がある。それほどバンドの“終活”は見極めが難しいものらしい。

ここまでに名前を挙げたバンドを振り返ると、なぜかハードロック/ヘヴィーメタル系が多いことに気がつく。そして同じように“終活”に意識的なバンドが多いもう一つのジャンルが、プログレッシブ・ロック(プログレ)だ。キング・クリムゾンは2021年11月から12月に来日公演を行ったが、クリムゾンとしての活動はそれ以来行われていない。またジェネシスは2022年3月のロンドン公演でフェアウェル・ツアーを終了。

ただプログレのバンドには、違う形で特徴的な“終活”もある。東京・目白のプログレ専門店「WORLD DISQUE」店長、中島俊也さんはこう話す。「バンドを引っ張ったカリスマ的なリーダーが亡くなった後も、彼らと最後に活動していた若いメンバーがそのイズムを受け継いで、オリジナルメンバーが一人もいなくてもその名前を継続させるという形ですね。フランスの『ゴング』やドイツの『タンジェリン・ドリーム』といったバンドが好例です」

・・・70年代から活躍しているハードロックバンド、プログレッシブロックバンドが終活する、とうとうそういう時代がやってきたんだなあ。まあそもそも最近まで現役だったというのが驚きというか、昔だったら考えられなかったね、70歳超えてハードロックやってるとか。(苦笑)

終活ではないが、ブルーオイスターカルトやユーライアヒープは、50周年ライブやらツアーやらをやっていた。ロックバンドが50年続くなんて、やっぱり考えられないよなあ。凄いことだなあ。

ディープパープルも、7月にアルバムを出すというから驚きだ。今のディープパープルなど特に聴きたいわけでもないが、この先ディープパープルの新譜を買うという体験はできないかもしれないので、買ってみようかなとも思う。(苦笑)

プログレだけでなく、ハードロックバンドも、オリジナルメンバーがいなくなっても、音楽継承のために名前を残して続けていく可能性はあるかもなあ。第30期ディープパープルとか。もう伝統芸能で。(笑)

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