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2024年2月25日 (日)

株価最高値、バブルではない

日経新聞電子版本日発信のコラム記事「株最高値、今回はバブルにあらず 89年と違う企業と個人」(鈴木亮・編集委員)から、メモする。

日経平均株価が22日、1989年に付けた過去最高値の3万8915円を上回った。今の株高は実績に裏付けられた、堅実な上昇だ。日経平均の過去最高値到達は、まだまだ通過点とみていい。

筆者が日本経済新聞に入った1985年4月、まだ日経ダウ平均と呼ばれていた日経平均は、1万2600円台だった。そこから5年、一気に3万8915円まで駆け上がった。最高値を付けた日の大納会、「来年の日経平均は4万5000円ですね」などと明るい展望が語られていた。

今から思えば、89年末はいびつな株高だった。日経平均ベースの予想PER(株価収益率)は62.58倍と今の(22日終値ベース)16.47倍に比べ、大幅に高い。予想1株あたり利益(EPS)は622円と、今の2373円の4分の1程度、予想配当利回りは0.38%と今の1.73%に比べて大きく見劣りする。

高いPERを正当化するため、証券業界はQレシオと呼ばれる投資指標を生み出した。 株価を1株あたりの実質純資産で除したもので、帳簿上の純資産の含み益を加算して算出した。当時の含み資産といえば不動産だ。東京湾周辺に工場跡地など巨大な土地を持つ企業、例えばNKK、川崎製鉄や、東京ガスなどがウォーターフロント銘柄とはやされた。

当時は個人投資家が十分な知識もないまま、株式に資金を投じていた。外国人投資家の参戦は少なかった。買いの主力の一つが企業だった。企業の買いといえば、今なら自社株買いを連想するが、当時は違う。特定金銭信託やファンドトラストと呼ばれる資産運用に、企業は走った。本業の事業利益よりも、運用益の方が大きい企業は珍しくなかった。

翻って、今の株式相場は89年当時とは、何から何まで違う。62倍台のPERは16倍台と大幅に低下した。配当利回りは4.6倍になり、時価総額は606兆円から932兆円に増えた。当時の株高要因の一つが、株式の持ち合いだった。お互いに安定株主として保有し、決して売却しない。銀行は取引先企業と株式を持ち合い、大手生保は保険の大口法人顧客となる企業の株式を保有した。今は持ち合い構造がどんどん見直されている。

企業は今、自社株買いなどの株主還元や、大型M&A(合併・買収)などの成長戦略に資金を使い始めた。大幅な賃上げは続きそうだし、企業業績は3期連続で過去最高益を更新する。こうした改革を評価する外国人投資家が日本株を買っている。

今年に入って、新たな少額投資非課税制度(NISA)を通じ、6000億円もの新規資金が日本株市場に流れ始めた。コツコツと積み立てNISAで将来に備える今の個人は、何の知識もないまま、儲かりそうだからと、株を買っていたバブル時代の個人とは大違いだ。89年当時のバブルに比べたら、今はバブルとは呼べない、地に足がついた堅実な株高だ。これが日経平均3万8915円は通過点だと考える最大の根拠だ。

・・・鈴木編集委員は「株屋さん?」という感じの記者で、いつも強気の人です(笑)。バブル期は野村證券の存在感が圧倒的で、「ウォーターフロント」のほか「トリプルメリット」(円高・低金利・原油安)「債権大国」「内需拡大」などの言葉も使って、壮大なシナリオ相場を展開していた。企業や個人もそれに乗って、こぞって「財テク」に励んでいたわけです。その一方で、高PERを説明するのには四苦八苦していて、「Qレシオ」のほか、持ち合い株数を除いて(分母を小さくする)PERを試算するとか、また当時は単体決算で見ていたので、一株利益が小さかったことも、高いPERの理由だったような。今は225銘柄ベースで純利益が4倍に、PERは4分の1になったわけだから、とにかく指標からはバブルではないと言えるだろうと。

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