日本株、長期保有資産に
どうも90年代のバブル崩壊が染み付いた自分の頭では、株相場の上昇は長持ちしないものと思っていたのだが、この10年余りを振り返ると、いわゆるアベノミクス以降の株相場は大勢上昇基調が続いているのだなあ。昨日27日付日経新聞記事(日本株、長期保有が肝心)からメモする。
個人には日本株への根強い不信感がある。1989年末からの長期低迷、人口減による低成長、米国に比べ低い企業収益率などが背景だ。このため多くの個人は相場が下がれば買い、少し上がれば売る投資姿勢を続けている。
確かに日本株は89年末以降、高値を回復していない。しかしこの全期間を「失われた34年」とひとまとめにみると判断を誤る。日本株は十数年前から、長期保有で報われる資産に変わってきているからだ。
株価水準を判断する代表的な指標として、株価収益率(PER)がある。「株価÷予想1株利益(EPS)」で計算し、長期間でみた国際的なPERの妥当水準は14~16倍との見方が多い。式は「株価=PER×EPS」と変形できる。EPSに14~16倍をかけた範囲を株価の適正水準とみると、89年末は1万円前後。だが当時の日経平均は4万円弱で適正水準の約4倍に達していた。「この超割高な水準の修正に長い時間がかかったのが日本株低迷の主な要因で、適正水準に戻ったのは2010~12年前後」とニッセイ基礎研究所の井出真吾氏は話す。
過去十数年は利益増を反映して、株主の持ち分である1株純資産(BPS)の増加ピッチが高まっている。株価をBPSで割った指標が株価純資産倍率(PBR)で、PBRは「ROE×PER」という式に分解できる。日本企業のROEは足元では約9%だ。PERを15倍として9%を掛けると現在の妥当PBRは約1.35倍となる。PBRは「株価÷BPS」なので「株価=PBR×BPS」と変形できる。足元のBPSは約2万6000円なので、適正株価は約3万5000円となる。同じ計算でPERを16倍とすると妥当PBRは1.44倍、株価は3万7000円強だ。やはり現在の株価は計算上の上限に近いが、割高過ぎるとまでは言えない。
新年に入っても、個人は日本株を大幅に売り越している。短期的な収益が目的なら、利益確定の売却は正しい選択肢。しかし井出氏は「目標が数十年後の資産形成で、利益増と経営効率改善を背景に日本株も上昇期待があると考えるなら、目先の割高感があっても売る必要はない」と助言する。
・・・バブル期のPER50~60倍については、企業の保有土地の含み益を勘定に入れるとか、持ち合い株式を除いた株数で計算する等、説明に四苦八苦していた覚えがある。当時は単体決算で株価も評価していたという要因もあるだろう。とにかく、過去10数年はEPSとBPSの増加、PERの低下によりバブルではない株価上昇が続いてきたということで、頭を切り替えないといけないのかなあと思えてきた。
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