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2023年11月25日 (土)

昭和40年代ゴジラ映画

雑誌「昭和40年男」12月号の特集は「俺たちのゴジラ」、副題は第二次怪獣ブーム世代の逆襲、とある。リアルタイムでは昭和46年の「ゴジラ対ヘドラ」から始まる「昭和40年男」のゴジラ観を考える。というものだが、昭和34年生まれ第一次怪獣ブーム世代の自分も考えてみたいテーマだなと思う。

自分が初めて観たゴジラ映画は昭和41年の「南海の大決闘」。翌年の「ゴジラの息子」も観た。ゴジラは襲来して都会を破壊する怪獣ではなく、南海の島にいる怪獣。43年の「怪獣総進撃」でも、ゴジラ始め怪獣たちは「怪獣島」に集められて、ひとまず人類の管理下にあった。11匹の怪獣が登場する「怪獣総進撃」は(第一次)怪獣ブームの総決算的作品とも言われた。

44年末から「東宝チャンピオンまつり」が始まったが、ゴジラ映画の新作「オール怪獣大進撃」は、ちょっとショボい印象だった。以後チャンピオンまつりは、春休み、夏休み、冬休みのプログラムに。自分は、昭和30年代「キングコング対ゴジラ」以降のゴジラ映画はチャンピオンまつりのリバイバル上映で観て、初期の「ゴジラ」「ゴジラの逆襲」はテレビで観た。やはりゴジラ映画の頂点は、「キングコング対ゴジラ」「モスラ対ゴジラ」だと思う。ゴジラの造形(いわゆる「キンゴジ」「モスゴジ」)も含めて、だ。

「怪獣総進撃」から3年後の46年、テレビではウルトラマンも帰ってきて、第二次怪獣ブームに突入。ゴジラも再び本格的に動き出す。小休止後の最初の相手は公害怪獣へドラ。異色の怪獣映画として知られる「ゴジラ対ヘドラ」だが、これが「昭和40年男」の最初のゴジラ映画体験だとすると、怪獣映画に対する感覚がおかしくなりそうだ(苦笑)。自分は小学6年生の時に観たわけだが、とにかく暗い印象だし、「水銀、コバルト、カドミウム~」(歌)だし、ゴジラが丸まって空を飛ぶし、戸惑い感は結構強くて、子供心にも低予算(逃げ惑う群衆が出てこないとか)だなと感じていた。続く47年の「ゴジラ対ガイガン」は、キングギドラとアンギラスも出てくるのは良いのだが、過去作品のフィルム利用とか、何かいまいちな感じだった。この年、自分は中学生になり、次回以降のチャンピオンまつりはパス。メガロやメカゴジラは見なかった。(その後54年日劇におけるゴジラシリーズの企画上映時に、「ゴジラ対メカゴジラ」は観た)

ヘドラについては昨年(2022年)初夏、「特撮美術監督井上泰幸展」を観た時に、改めて「ゴジラ対ヘドラ」公開当時について感じ入るものがあった。1971年のヘドラの後、東宝映画は73年から74年、「日本沈没」と「ノストラダムの大予言」で大ヒットを飛ばした。この破局的パニック映画の連発で、当時の少年少女は多かれ少なかれ終末観を持たされたのではないか(苦笑)。ヘドラは、その終末観ブームの先駆けだったとも言えるし、そういう意味でも「ゴジラ対ヘドラ」は特異な作品だったと思う。

昭和50年春「メカゴジラの逆襲」で、昭和40年代のゴジラ映画、人類に味方するゴジラのシリーズは終了。その約10年後、冷戦のぶり返しから核戦争の可能性が取り沙汰される時代の中で、ゴジラは再び核の化身として復活する(1984年版「ゴジラ」)。そして「平成ゴジラシリーズ」が、手を変え品を変え作られ続けたが、シリーズが進むにつれて、物語の輪郭がぼやけていった感がある。やはり、ゴジラは単なる「人類の敵」以上に、明確な脅威として具体的に性格付けられないと、ゴジラ映画の魅力も乏しくなるように思う。

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