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2023年10月28日 (土)

西南戦争がマンガになる(予定)

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「交番女子」の警察マンガ『ハコヅメ』の作者・泰三子(やす・みこ)の歴史マンガ『だんドーン』単行本第1巻(講談社)が出た。扱う時代は幕末で主人公は川路利良(かわじ・としよし)。・・・って誰?という感じだが、日本警察の礎を築いた人だという。とりあえず「警察つながり」で、謳い文句は「本格幕末コメディ」の新作らしいのだが、「日経ビジネス電子版」のインタビュー記事を読んでみると、西郷隆盛の人物像を見直すとか、桜田門外の変や西南戦争を新たな視点で描く予定など、むしろ「本格幕末ドラマ」になりそうな感じもある。記事の泰発言から、西南戦争に係る部分をメモする。

私は「西南戦争をマンガで描きたい」気持ちをずっと持っていたんです。西南戦争は西郷(隆盛)と大久保(利通)の戦争、と見せかけて、あれは中村半次郎(桐野利秋)と川路利良の代理戦争だった、という声もあるじゃないですか。この2人を描いていくと、当時の人たちがどうして西南戦争に進んでいったかというのを、自分なりの解釈で分かりやすく描けるかなと。

(「戊辰戦争で幕末終了」感はあるのかもしれないが、)会津戦争(1868)からの西南戦争(1877)を描いてこそ、本当の幕末史じゃないですか。会津戦争で会津が薩摩らの新政府軍にどんな目に遭わされて、その9年後の西南戦争で、会津軍の将たちがどういう活躍をして、どういうふうにいわれてきたか。会津の人たちの魂について触れるには西南戦争まで描かないとだめで・・・。

熊本城を守り抜いた谷干城(たに・たてき、土佐藩出身)がいるじゃないですか。谷干城は会津の戦いの中で山川浩を知って、軍にスカウトするんですよ。その山川が自分を見込んでくれたかつての敵、谷の救援のために、一番乗りで熊本城に入城を果たすという。「めちゃくちゃ胸熱展開なのに、誰かマンガにしていないの」と。新撰組がお好きなら、斎藤一も出てくるのに・・・。彼は川路の下で警察官になって「抜刀隊」という、西南戦争の勝敗を分けた隊に入っているんです。いや本当に楽しみだな、西南戦争を描くのが。

・・・最近自分も、なぜか西南戦争への関心が軽く盛り上がっていて、今年の春に田原坂周辺を歩いてみたし、熊本城天守が戦闘直前に焼失した謎も気になっているので、いま西南戦争を描くというマンガ家さんが出てきたことに大変驚きかつ頼もしく思っているし、西南戦争のマンガを読むのが本当に楽しみです。

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