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2023年7月23日 (日)

『恐竜図鑑』展

昨日、恐竜画の展覧会『恐竜図鑑』(東京・上野の森美術館)を観た。

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やってるの知ったのがごく最近で、え、今週で終わり?とか思って、慌ただしく最終日の鑑賞となりました。館内の展示作品の大部分は写真撮影OK。

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上はティラノサウルスとトリケラトプス(ナイト作)、下はアロサウルスとステゴサウルス(ブリアン作)。恐竜復元画は、パレオアート(古生物美術)と呼ばれている。購入した図録の解説文「20世紀のパレオアート」(エリック・ビュフトー)から、以下にメモする。

20世紀初頭のパレオアーティストのなかでも特筆すべきは、アメリカのチャールズ・R・ナイトだろう。1890年代に描かれた彼の最初期の復元画は、すぐに一般大衆からも、古生物学の専門家たちからも注目を集めた。恐竜や絶滅した生物を生き生きとしたポーズで写実的な風景のなかに配置した彼の絵は、解剖学的にも、自然環境の描写においても、リアリズムを欠いた前時代のパレオアートとは一線を画すものだった。ナイトは、最も影響力を持ったパレオアーティストとして、古生物復元画における新たなスタンダードを確立したと言えるだろう。

20世紀の代表的なパレオアーティストのひとりとして、チェコのズデニェク・ブリアンが挙げられる。プラハのカレル大学で古生物学教授だったヨゼフ・アウグスタと組んで、先史時代の人類や化石動物について多くの本を出版した。ブリアンの挿絵をふんだんに掲載したこれらの書籍は、いくつもの言語に翻訳された。美しく質の高い挿絵は世界中で人気となり、頻繁に複製が行われた。彼の絵は広く普及し、チェコ国内にとどまらず、各国の後進のパレオアーティストに大きな影響を与えた。

20世紀のパレオアート作品の多くは、今日においては古びたものに見えるかもしれない。しかし、芸術的価値のある作品として注目に値するものであるし、現在では否定された学説を基に描かれた絵であっても、古生物学の発展を辿るうえで重要な、当時の解釈をうかがい知ることのできる、貴重な史料である。

・・・子供の頃、なぜだか家にブリタニカ百科事典(英文)が置いてあって、ティラノサウルス対トリケラトプスの小さな白黒の図版が載っていた微かな記憶があるのだが、おそらくあれはナイトの画だったのだと思う。

周知のように恐竜復元の姿は、研究の深化と共に相当変遷してきている。最近の復元画は描写も緻密になり、恐竜自身がカラフルになっていたりする。昔の「恐竜図鑑」の画はタッチが粗いとか、今から見ると間違いがあったりとかするのだが、それでも自分が子供の頃熱心に見ていた記憶と共に、ノスタルジーに近い愛着の気持ちを呼び起こされるのだなあ。そういう意味では、昔の「恐竜図鑑」の記憶のある大人向けの展覧会でありました。

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2023年7月 3日 (月)

杉本八段に学ぶ若手との向き合い方

いま「師匠」と言えばこの人。将棋棋士藤井聡太七冠の師匠、杉本昌隆八段。本日付日経新聞のインタビュー記事からメモする。

藤井七冠が小4、10歳で弟子入りした時、この子は手を加えすぎない方がいいだろうと思った。粗削りだが、序盤からじっくり考えるタイプで、対局ではよく持ち時間がなくなり逆転負けしていた。だからといって、早く指す癖をつけても、この子にとってはよいとは思えなかった。

藤井七冠はよく「AI(人工知能)時代の申し子」のように言われるが、小さい頃から自分の力で考え抜いてきたことが今の強さの礎になっている。

弟子が入門する際には、「将棋に関しては師匠も弟子もない。言いたいことがあれば、遠慮せず自由に言ってほしい」と伝えている。私は師匠としては関係重視型で、リーダーシップを持って弟子を引っ張っていくタイプではなかったので、物足りなく思う弟子もいたかもしれない。

(若い弟子とは)年々感覚は合わなくなる。自分の考えが正しいとは限らないし、自分の感覚が古くなっていることを前提に指導するようにしている。

とはいえ、弟子と向き合うには、自分も新しいことを吸収し続けなければいけない。40代、50代でも新しいことを知れば、変わることは可能だ。今はそれができる時代だ。

弟子を持つことは自分自身の強化にもなる。考え方が若くなり、新しいことを吸収しなければという気にさせられるからだ。新しいことに挑戦するのはつらいこともあるが、いくつになっても好奇心は持ち続けたい。好奇心があれば、弟子をはじめ若い人たちと良い関係を築くのに役立つ。自分自身のスキルを高めることにもつながる。

身近に若い世代がいるのはすばらしい環境だ。弟子たちに感謝している。

・・・若い世代との向き合い方について、杉本八段に学ぶところは大きい。藤井君のような天才ならば、師匠が誰であろうと育っちゃうとは思うのだが、それでも師匠が杉本八段だったからこそ、ここまで才能が大きく花開いたのかも、と思わせるお話だ。

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