二・二六事件
NHK・BS1スペシャル「全貌 二・二六事件」を観た。ちょうど3年前に放送した番組の再放送とのこと。
昭和11年(1936年)2月26日に起きた二・二六事件。陸軍「皇道派」の青年将校たちが天皇を中心とする軍事政権の樹立を目指し、政府要人数名を暗殺して国会議事堂などを占拠したクーデター事件である。当時、海軍軍令部が事件の推移を綿密に記録した極秘文書が見つかり、それを基に番組は事件の4日間を辿る。そして最後に、事件の一週間前に海軍は、陸軍皇道派の決起計画の概要を把握していたことが示される。
事件発生当時、決起部隊の動機や思想に、陸軍の一部が理解を示し、他の部隊がさらに合流する可能性もあったという。それだけでなく海軍にも同調する者がいたようだ。しかし天皇は早くから海軍に鎮圧を期待していた。海軍の陸上戦闘部隊である陸戦隊が出動する。さらに芝浦沖の海上から、国会議事堂に艦砲射撃を加える計画もあったという。
2月28日、天皇は反乱鎮圧の意思を示す奉勅命令を出す。陸海軍の鎮圧部隊と決起部隊は一触即発、東京が戦場となる内戦寸前の状態に。翌29日(うるう年なのですね)午前中に決起部隊の投降が始まり、午後1時に反乱は平定された。
「昭和維新」を目指した青年将校たちは軍法会議の裁判で処刑されたものの、その後の日本は、天皇を頂点とする軍国主義に突き進んでいった。それは結局は青年将校たちが望んでいた国家の姿だったと言ってもいい。
二・二六事件から9年半後の昭和20年(1945年)8月、日本が降伏して戦争は終わった。時の首相は鈴木貫太郎。二・二六事件の際に重傷を負ったが一命は取り留めた鈴木侍従長その人が、天皇と共に終戦工作を何とかやり遂げたというのも、歴史の不思議な巡り合わせだと思える。
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