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2023年2月23日 (木)

独ソ戦の「記憶」

ロシアのウクライナ侵攻開始から、明日で一年が経つ。正直なところ、いまだになぜこんなことが起きているのか、よく理解できない。この戦争が世界の将来にどんな影響を与えるのかについても、既にいろいろ議論されてはいるが、今は何よりも早期の停戦を願うばかりだ。

さて、昭和世代の一部には独ソ戦の「記憶」がある、と言うと怪訝に思われるだろうか。第二次世界大戦後10年以上過ぎた昭和3040年代生まれの世代は、太平洋戦争はもちろん欧州戦線も、映画・マンガ・プラモデルで「学んだ」と言える。田宮模型のタイガー戦車やT34戦車を作り、ソ連映画『ヨーロッパの解放』から独ソ戦の決定的なイメージを受け取ったように思う。

ソ連終焉から約30年が経った2020年代初頭、日本の読書界で「独ソ戦」のテーマが注目され、『独ソ戦』『戦争は女の顔をしていない』『同志少女よ、敵を撃て』が読者を獲得。そして、なぜかその状況に「シンクロ」するように2022年2月24日、ロシアがウクライナへの全面侵攻を開始した。かつての独ソ戦の戦場で、旧ソ連の国同士が敵対し、キエフやハリコフの攻防戦が伝えられる事態に、独ソ戦の「記憶」を持つ者としては、深い困惑と奇妙な「既視感」を覚えるばかりだった。現在も戦闘の終わる兆しは見えず、欧米のウクライナ支援も、ロシアが継戦能力を失うまで続く気配が濃厚になってきている。

最近の独ソ戦の研究では、ヒトラーの「世界観戦争」との見方も強調されてはいるが、経済的資源の獲得を目指す収奪戦争であったことも疑いない。これに対して、「プーチンの戦争」とも呼ばれるウクライナ戦争には、純然たる「世界観戦争」の印象がある。独善的な思想を持つ指導者の指令で遂行される戦争が「世界観戦争」であるならば、この戦争が実行可能と見られる国家体制を敷く国々が、日本の近隣に存在している。この戦慄的な地政学的現実への対応として、日本が戦後の安全保障政策の大転換に踏み出したことは、基本的な方向性として是認できる。

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