PBR1倍超え宣言!
本日付日経新聞ビジネス面コラム記事「経営の視点」(始まった「JTC」の逆襲)から、以下にメモする。
「ジャパニーズ・トラディショナル・カンパニー」を略したJTCはネットでよく使われる言葉だ。日本の伝統的な大企業に共通する、内向きで硬直的な組織運営や企業文化を皮肉る時に、使われることが多い。もうすぐ創業150年を迎えるコングロマリット企業の大日本印刷は、投資家が考えるJTCの代表格だ。経営トップが株主の前に出てくるのは、年に1回の株主総会の時だけ。決算説明会を初めて開いたのは2019年と、日経平均構成企業の中で最も遅かった。
そんな大日印が出してきた、「自己資本利益率(ROE)10%とPBR(株価純資産倍率)1倍超」をめざすという次期中期経営計画の基本方針。市場は、後者の方にひっくり返った。
株価を解散価値である1株純資産で割ったのがPBRだ。市場が決める株価が左右し、企業はほぼコントロールできない。実際、これまでPBRを経営目標に掲げた企業は皆無だろう。しかも、大日印のPBRが過去10年で1倍を超えたことは一度もない。
大日印の変身に、2つの「外圧」が強く影響したのは間違いない。世界最大のアクティビストである米エリオット・マネジメントの株取得と、PBR1倍割れの企業に「改善計画」の開示を強く求めるという東京証券取引所の新方針だ。
大日印のある幹部はいう。「非連続の変化が必要だという意味で、市場と我々の利害は一致する」
変化が必要と腹落ちした大企業の組織力は侮れない。JTC逆襲の「のろし」は上がった。
・・・東証の要請以来、バリュー株相場が展開中。ROE向上とPBR1倍回復を目指す計画表明が、単なる株買いの材料に止まらず、実際の経営改革から企業価値向上につながることを強く望む。
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