「アドラー」「こんまり」世界的ヒット
本日付日経新聞の読書面記事「活字の海で」からメモする。
アドラー心理学を開設する自己啓発書『嫌われる勇気』(岸見一郎・古賀史健著、ダイヤモンド社)が続編の『幸せになる勇気』(同)と合わせて世界累計1000万部を突破した。
『嫌われる勇気』シリーズは日本で369万部、中国296万部、韓国174万部、台湾97万部とアジアでよく読まれている。台湾の版元の担当者は「他者から嫌われるのは自由の対価だと直接的に伝える本は今までなかった」と衝撃を語る。韓国の担当者は「他人にどう見られるか敏感な韓国人にとって、突破口の役割を果たした」と指摘。
他方、中国での売れ行きには異なる理由があるようだ。中国文化に詳しいコラムニストの加藤嘉一氏は「過去がどうあろと今を一生懸命生きれば未来が開けると説くアドラー心理学は、日本人には新しい生き方と映ったが、中国人にとっては自らの生き方が間違っていないと確認させてくれるものだ」という。
23年1月時点で世界1400万部に達している近藤麻理恵著『人生がときめく片付けの魔法』(サンマーク出版、改訂版は河出書房新社)シリーズだ。米国で584万部と日本の288万部を上回る同書は、モノへ感謝する精神性が日本らしさと結びついて受け入れられ、本人が出演するネットフリックス番組が人気を博して幅広い層へ浸透した。
・・・『嫌われる勇気』が日本でヒットした時は、題名で売れたかなという気がした。やはり日本人は、他人から「嫌われたくない」人が多いんだなと。韓国も似た感じがある。でも、中国人は「我が道」を行く人が多いということなんだろうな。(苦笑)
「アドラー」本がアジアで売れているのに対して、「こんまり」本が売れているのはアメリカ。モノにキスして「グッバイ」する、モノを人格化するアニミズム的感覚が、キリスト教文化の社会で受け入れられているのは不思議に思う。
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