平成の政治改革も今は昔?
12月7日付日経新聞市況欄コラム「大機小機」(令和で再び政治活性化を)からメモする。
平成(1989~2019)は政治改革の時代だった。約40年続いた自民党の政権独占と、その下での政官関係が国民の信頼を失ったことが起点になった。旧態依然とした日本の政治行政の体制では、バブル崩壊後の経済と冷戦終結後の国際環境に対応できないという危機感も強かった。選挙制度改革、省庁再編などが次々と実現した。
国民からの信頼の獲得を目指す政党間の競争、そして政権交代の可能性が政治に規律を与える。同時に政治のリーダーシップの発揮によって、行政や政策が既得権益のしがらみから解き放たれ、国民本位の改革が推進される。成果は別として、こうした理念が一貫して平成の改革の根底にあったことは間違いない。
小泉政権から数えて約20年。政治改革のサイクルが一巡し、昨今の状況は政治不信を招いた90年代に酷似してきていないか。政権交代の期待を担う野党は見当たらなくなった。自民党が選ぶリーダーは内向き・調整型になった。噴出する政治とカネの問題にも既視感がある。
90年代と比べて、内外の環境は格段に厳しくなっている。人口減少と高齢化は現実化し、経済の停滞は打開できないままだ。地政学的対立やエネルギー環境問題の緊迫化の中で、日本の針路選択は不透明さを増している。政治家には国益を見据え、歴史感覚を持ち、国民本位で蛮勇を振るうことを期待したい。
・・・平成時代の政権で改革イメージが強いのは、細川、橋本、小泉、安倍というところか。特に安倍政権は長期政権となり、金融・財政から働き方改革まで、経済改革はひと通り取り組んだという印象がある。しかし反面、いわゆる成長戦略あるいは構造改革は、まだまだ足りないと指摘されるところ。令和の日本政治は、とりあえず平成でやり残した改革を進めることになるのだろう。
ところで昨今の防衛予算の増額、原発政策の修正、NISA大改造などを見ていると、意外と岸田政権はリアリズムで課題に取り組むのだな、という感じがしてきた。支持率は低下傾向だけど、取って代わる人も特に見当たらないし、何となく続いていくのかな。
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