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2022年5月 9日 (月)

プーチンの戦争の行方

今日のロシアの「戦勝記念日」におけるプーチン大統領の演説では、「戦争状態」宣言など新たな展開を示す言葉は語られなかった。一方で、ウクライナとの戦争を止める気配も皆無。ということで現状ロシアの苦戦が伝えられる中、敗北を回避しつつ戦争を終わらせるために、ロシアが限定的に核兵器を使う可能性も消えていない。「文藝春秋」5月号掲載「徹底分析プーチンの軍事戦略」(小泉悠・東京大学先端科学技術研究センター専任講師)から、以下にメモする。

プーチンがウクライナでの戦争を簡単に終わらせるとは考えられません。現状、ウクライナへの全面侵攻によって、ロシアに何か特別な利益がもたらされたとは思えない。

こうなると従来は心理戦だと考えられてきたエスカレーション抑止戦略が、突如として現実味を帯びてくる。限定的に核を使用し、ロシアにとって有利な形で戦争を終わらせようとするのではないかという可能性が高まってきたのです。

※エスカレーション抑止:戦争に負けそうになったら、一発だけ限定的に核を使用する。その核の警告によって相手に戦争の継続を諦めさせる、あるいは、ロシアにとって受け入れ可能な条件で戦争を停止させることができると考える。

ロシアの限定核戦争にどう対応するかは、その時の指導者や国民の気分次第です。使用した場所がウクライナ域内だったとしても、アメリカがロシアの無人地帯に向けて、核での報復を行う可能性はあります。

そこから先は、不確実性に不確実性を積み重ねていく世界です。どこまでエスカレートするかは、神のみぞ知る。なにしろ核のボタンを握っているのはあのプーチンです。彼の精神状態が良くない方向に嵩じて行けば、全面核戦争に踏み込んでもおかしくはない。
仮に「ロシア対アメリカ・NATO」の全面核戦争に発展した場合、日本も無関係ではいられません。

ロシアの軍事思想を踏まえると、彼らは有事の際には、アクティブ・ディフェンス(攻撃的な防御)の構えをとる。攻撃を受ける前に敵の戦力発揮能力を破壊する行為が防御のうちに含まれているのです。となれば、ロシアは確実に日本の米軍基地を狙ってきます。つまり、このウクライナ戦争は日本にとって対岸の火事ではない。

日本も含めた国際社会に求められるのは、ロシアが核使用までエスカレートする前に、プーチンとゼレンスキーを交渉のテーブルにつかせること。プーチンの最低限のメンツを保ちつつ、かつウクライナの主権を奪われない形でなんとか話を妥結する必要があります。

・・・とにかく両国の大統領の会談が実現しなければ、戦争を終わらせて和平に向かうプロセスの入り口にも立てない。そして今のところ、その入り口すら遠くて見えない状況というほかはない。

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