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2022年5月25日 (水)

「ネオナチ」批判、空回り

日経新聞電子版本日付配信記事「プーチン大統領、ネオナチ批判の重いツケ 侵攻3カ月」からメモする。

ロシアがウクライナへの軍事侵攻を開始して3カ月。プーチン大統領は侵攻理由のひとつに、ナチズムとの闘いを掲げる。ウクライナのゼレンスキー政権を「ネオナチ政権」と非難。第2次世界大戦で当時のソ連がヒトラー率いるナチス・ドイツに勝利した歴史と重ね合わせ、ロシア国民の愛国心をあおって侵攻を正当化しようとしている。だが、こうした戦術が奏功しているとは言い難い。

プーチン氏が執拗にネオナチを持ち出し、ウクライナ非難の宣伝材料にするのには理由がある。第2次大戦前後にウクライナの独立運動を主導した政治家ステパン・バンデラの存在だ。
バンデラは「ウクライナ民族主義者組織」の指導者で、ウクライナ西部を中心に戦前はポーランド支配、その後はソ連支配からの独立を求めて武力闘争やテロ活動を主導した。1959年、滞在先のミュンヘンでソ連国家保安委員会(KGB)の工作員によって暗殺された。
ソ連による占領に対抗するため、一時的にナチス・ドイツとの協力を唱えた経緯があり、旧ソ連やロシアではバンデラを「ヒトラーの協力者」、バンデラ主義者を「ネオナチ」とみなす。一方、ウクライナでは91年末の国家独立以降、バンデラを英雄視する傾向が強まり、各地に銅像も建てられるようになった。
ロシアを中心に旧ソ連ではもともと、ナチズムへの嫌悪感が根強い。第2次大戦の対独戦で3000万人近い犠牲者を出したからだ。一時的にせよナチスと協力したバンデラの存在は、ウクライナ侵攻で国民の支持を得たいプーチン氏にとって格好の宣伝材料となっている。

ただし、政権の思惑が必ずしも成功しているわけではない。「ウクライナ情勢で何を懸念しているか」。民間世論調査会社のレバダ・センターが4月に実施した調査によると、民間人やロシア兵を含めた人的犠牲が47%を占めた。半面、バンデラ主義者やナチズム信奉者の脅威を挙げたのは6%にすぎなかった。

・・・「ネオナチだから敵だ」という主張は、NATOに接近するウクライナを「敵」と見做して、後からネオナチのレッテル張りをしているだけのこと。そんなバレバレの主張で戦争を起こす人間というのは、やはり正気ではないとしか言いようがない。「極悪」のシンボルとして引き合いに出されたナチスにも、お門違いの「不名誉」であるかも知れないと、かつてドイツと同盟国だった極東の島国の住人であるワタシは思ったりする。

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